コロナ禍が明けてもなお、アパレル企業の淘汰はいっそう進んでいる。
東京商工リサーチによると、2025年における婦人服販売業の倒産件数は144件と、前年の115件を上回り、20年以来の高水準となった。倒産したのは零細企業が中心で、円安や原価上昇による仕入れコストや人件費の上昇に対応しきれなかったという。ゼロゼロ融資といったコロナ禍での資金繰り支援策が終了したことも影響したもようだ。
コロナ禍後に業績が回復し、訪日客需要の恩恵を受けているアパレル企業もある。だが、業界内での優勝劣敗はより鮮明になっている。ネット通販の拡大や2次流通の浸透など、アパレル企業を取り巻く経営環境は大きく変化してきた。さらにここ最近は、記録的猛暑が続く夏の長期化により、秋冬服の投入が後ろ倒しになった。新作の投入時期を見誤ると、業績に多大な影響を与えかねず、経営の難易度は増すいっぽうだ。
全国的知名度があるブランドでも、最近では決断を迫られている。ジーンズ専門店大手のライトオンは、長引く業績不振の末、今年3月にワールドの完全子会社となった。同業のマックハウスも24年11月、親会社のチヨダが再生を断念し、アパレル物流を手がけるジーエフホールディングスが出資するファンドに売却された。ユナイテッドアローズも、ショッピングモールに数多く出店する自社ブランド「コーエン」を昨年、ジーイエット(旧マックハウス)に2億円で売却している。
経営難に苦しむアパレル企業が後を絶たない中、従来その再建を担ってきた投資ファンドや商社に加えて、直近では複数の中小アパレルを次々に買収して再生支援するプレーヤーが現れている。
2年で30ブランドを一気に傘下に
「商品を置いていれば売れていた時代が長く続いていた。そこから意識を変えられず、先代の社長や経営者がネット通販への対応など新しいことに踏み込めない会社が多かったようだ」
そう指摘するのは、中堅・中小企業支援を行うブライトン・ジャパンの子会社、ブライトン・ファッションの佐々木貞夫社長だ。ブライトン・ジャパンは23年に三井住友銀行出身の澤田渉氏が創業。経営難に陥った会社にDIPファイナンス(破綻企業向けのつなぎ融資)のほか、経営再建に向けた計画策定のコンサルなどを展開する。主要メンバーは澤田氏のような金融出身者で構成し、メガバンクでは難しいきめ細かな支援を目指している。
ブライトン・ファッションは、インポートセレクトを手がけるアッシュ・ペー・フランスや、「レトロガール」を展開するR1000などの小売り4社と、生地製造の鈴憲毛織を合わせた計5社、30ブランドを傘下に持つ。いずれも業績低迷により資金繰りが悪化し、民事再生といった法的整理を進めていた会社だ。
ブライトン・ジャパンでは、これらの会社をこの1~2年の間に一気に買収してきた。ただ、当初はアパレル企業に照準を当てていたわけではなかったという。
この記事は有料会員限定です
残り 1459文字

