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シャープ「スマホの次は衛星」衛星通信の新時代を見据え2035年1000億円を狙う壮大な構想

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MEO衛星通信ユーザー端末の試作機(右)
MEO衛星通信ユーザー端末の試作機(右)。建設機械の模型や電波暗室での試験映像とともに展示されていた(写真:筆者撮影)
  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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通信事業本部長の中江優晃氏は「衛星事業者の多くは3GPPでの発言権を持たず、端末の自社開発もしていない。標準化を進めながら製品を作れるポジションにいるのは我々だけだ」と話す。スマートフォン事業で培った標準化推進力と端末開発力の両方を持つことが、この事業の起点になっている。

Starlinkにはない強みで勝負する

衛星通信で先行するのはSpaceXのStarlinkだ。低軌道に1万基近い衛星を展開し、100カ国以上でブロードバンドサービスを提供している。小林氏は「業界を爆発的に普及させるきっかけを作った」と評価しつつ、差別化の余地は大きいと語った。

衛星通信は、地上のアンテナから衛星へ電波を送り、衛星が地上のゲートウェイ局を経由してインターネットにつなぐ仕組みだ。衛星の軌道は高度約3万6000kmの静止軌道(GEO)、2000km以下の低軌道(LEO)、その中間の約8000kmの中軌道(MEO)の3種類がある。低軌道は遅延が小さい反面、衛星1基のカバー範囲が狭く数千基が必要になる。中軌道は少ない衛星数で広い範囲をカバーしつつ、遅延も抑えられる。

SESが示した日本向けのサービス構成図。地上網からSESの中軌道衛星を経由し、シャープ製端末で現場の建機やドローンに接続する(写真:筆者撮影)

パートナーのSESは、中軌道衛星MEOを主力とする衛星オペレーターだ。2025年に同業のIntelsatと統合し、静止軌道と中軌道を合わせて120基超の衛星を運用する体制になった。従業員は約4000人。同社の衛星通信サービスO3b mPOWERは日本ではまだ提供されておらず、シャープとの協業が初の展開となる。

パートナーシップを発表したSESのJean-Philippe Gillet氏(左)とシャープの小林繁Co-COO(写真:筆者撮影)

SESのJean-Philippe Gillet氏(President, Fixed Vertical)は発表会で、中軌道の利点を2つ挙げた。1つ目は5G NTNとの親和性だ。地上のセルラー網と衛星通信を同じ標準規格で統合でき、地上と宇宙の間でローミングが技術的に成立する。2つ目は信頼性の高さだ。低軌道衛星に比べて1基あたりのカバレッジが広く、衛星の切り替え回数が少ないため通信が途切れにくい。

小林氏は、既存サービスとの違いをこう説明した。「垂直統合型のサービスは使いやすい反面、カスタマイズ性に乏しい。我々は回線とソリューションをパッケージにして、お客様の現場まで入り込む」。

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