東洋経済オンラインとは
ライフ #サオリス・ユーフラテスの数字の向こう側

グランプリ常連の「名物駅弁」が《1杯290円》で大行列…105年続く老舗が初めて出す"できたてソウルフード"は別格だった

9分で読める
かしわめし
駅弁では970円の「かしわめし」。ロードサイドモデル1号店では手軽に食べられるようにお手軽サイズで290円で提供しているという(写真:筆者撮影)
2/5 PAGES
3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES
火も包丁も使えるようになった。会社統合の際に運営を引き継いだ海老津駅前の店舗も、駅構内の店舗と同じように店内調理は行っていないそうだ(写真:筆者撮影)

変わっていくもの、変わらないもの

駅の北側の新駅舎(写真:筆者撮影)

2004年から再開発が進む折尾はいま、変わろうとしている。線路の高架化が進み、駅の北側には新しい駅舎ができた。2028年度までには、かつての飲食店街跡地を中心にマンションやホテル、シェアオフィスなどを備えた新たな駅前エリアが完成する見込みだ。

駅の南側。飲食店街だったところを再開発中(写真:筆者撮影)

東筑軒もまた、変わろうとしている。105年続いてきた店は「駅弁から、地域の食堂へ」と掲げ、本格的に駅の外へ出ていこうとしている。

一方で立ち売りは、いまも変わらない。

小南英之さん(66)は東筑軒で立ち売りを続けて13年。歌うようにゆっくりと手を振り上げひらりひらりと手を舞わせて、腹の底から声を響かせる。「おべんとーう、おべんとーう。東筑軒のおべんとーう」。電車が動き出すと、「行ってらっしゃーい」と声を伸ばして見送る。

(写真:筆者撮影)

ホームにいる人たちは、声をあげる小南さんを見てもまったく驚かない。ちらりと目をやって、通り過ぎていく。ここでは、見慣れた光景なのだろう。

取材の朝、筆者が「お弁当をひとつ、ください」と声をかけると、小南さんは両手で弁当を掲げ、深々と頭を下げた。「いらっしゃいませ。今日、一番最初のお客様です」。

経木の包みは、ずっしりと重かった(写真:筆者撮影)
かしわめしの小(860円)とサービスのお吸い物。買った駅弁は「折尾駅うどん店」内で飲食可能で、お弁当購入者にはかしわ入りのお吸い物がつく。思いがけないもてなしだ。冷めているのにしっとりとほの甘いかしわめしに、錦糸卵がやさしく寄り添う。海苔はきりりと味を締める。なるほど、これが「冷めてもうまい」かしわめし(写真:筆者撮影)

折尾駅のホームには今日も「おべんとーう」の声が響く。

後編では、事業譲渡により、2025年11月に新しく社長に就任した山内裕太さんに、この半年の舞台裏を聞いた。

後編はこちら→→→「僕が知ってるかしわめしじゃない」…9期連続赤字の老舗駅弁会社で“資さん出身”の新社長がまず《味を戻した》深い訳

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数