一方、今回は立憲が養子案に、日本保守党が女性皇族の身分保持案に賛同せず、共産党、れいわ新選組、社民党、参院会派「沖縄の風」は総意自体に反対した。高市政権にとって立憲の賛成を得ることは不可欠とみられていただけに、自民党幹部は今回の立憲の対応に「想定外だった」と肩を落とした。
このような今回の皇室典範改正をめぐる一連の流れを、さらに複雑化させているのが天皇陛下のご発言だ。
オランダとベルギーへの公式訪問直前の11日に記者会見された天皇陛下は「皇室のあり方や活動の基本は、国民の幸福をつねに願い、国民と苦楽を共にすることだと考えており、皇族数の確保のあり方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と話された。
皇室に関する政治の動きに「感想」を述べられたのは「極めて異例」(宮内庁関係者)だ。
「令和の藤原氏」誕生の懸念も
さらに、寬仁親王妃信子さまの実兄である麻生太郎・自民党副総裁が、養子案への強いこだわりを見せていることも問題視されている。
麻生氏は18日の麻生派会合で「何としても今国会で成案を得なければならない」と呼びかけたが、皇室関係者の間では「麻生氏ら保守派の政治家たちが女性天皇や女系天皇を認めない背景には、日本会議のような右寄りの人たちの支持をつなぎとめたい、という狙いがある」との見方が少なくない。
この点について、政治学者の御厨貴・東京大学名誉教授が『文藝春秋』7月号で「三笠宮家寬仁親王妃家に養子が取られたら、麻生さんが天皇の外戚になり、平安時代の藤原氏のようになる」と指摘している。
そもそも、政界での一連の論議を見る限り、「天皇陛下があえて指摘された『国民の皆さんの理解』が置き去りにされている」(自民党長老)ことは否定できない。それだけに、政界有力者の間でも「高市首相や麻生氏らが今回の皇室典範改正案の早期成立に突き進めば、政局の混乱にもつながりかねない」(同)との見方が広がり始めている。

