歴史上の人物でいえば、豊臣秀吉が有名です。「寒い日に、仕えていた織田信長の草履を温めて出した」というエピソードは、あまりにも有名です。
本稿は、秀吉とまではいきませんが、学校や職場や家庭など、読者のみなさんが置かれた環境のなかで自分の立ち位置をうまくつかみ、人間関係をより円滑に実りあるものにしてもらいたいという願いもあって書いています。スネ夫が教えてくれるのは、まさに人間関係を円滑にするコツなのです。
「口がうまいこと」になんとなく抵抗があるという方は、ゴマをするというよりも、すべての人に気を配っていると考えるようにすればいいのではないでしょうか。目下の若い人にも優しい心を発揮すれば、それを「ゴマすり」だとは誰も考えません。みんなが幸せな気分になれば、気のきいた言い方は悪いことではないと思うのです。
大人も顔負けのスネ夫の優れた観察力
人間関係をコントロールできる「人間通」であることも、「スネ夫力」の大きな要素。スネ夫は、子どもながらに立派な「人間通」です。ジャイアンの行動パターンや思考回路を完全につかみ、思い通りに「操縦」している、といえばわかりやすいでしょうか。
冴えわたるカンと機転のよさで、ジャイアンの怒りに震えるこぶしを下ろさせたり、大音量での迷惑なリサイタルを中止させたり。稀有な能力を発揮するスネ夫は、仲間たちに感謝されることもしばしばです。「自分もこんなふうに人間力を発揮できれば」と、うらやましく感じる方も多いでしょう。
また、彼はこんなことばも残しています。
「ウソをつくだろ。それがばれそうになって、ごまかすためにまたウソをつく。ウソがどんどんふくらんで、手におえなくなるんだ」(『てんとう虫コミックス大長編ドラえもん 第1巻「のび太の恐竜」』(小学館)より引用)
まるで、苦労した社長さんの回想録にでも出てきそうなセリフです。10歳の子どもの発言とはとても思えない含蓄の深さではありませんか。大人びたスネ夫は、現実感覚にも優れています。
「今の世の中でものをいうのはお金だよ。それと頭とルックスさ」(『てんとう虫コミックスドラえもん 第37巻』(小学館)より引用)

