「どちらが正しい声かけなのか」「しつけとして正しいのはどちらなのか」と考えたくなるかもしれません。
でも実は、これは「正しさ」の問題ではありません。正しい指摘であっても、子どもの脳には届かないことがあるのです。
ここにあるのは、もっと根本的な、「見えていなかった前提」の違いです。
子どもは、言葉の意味だけで動いているわけではありません。その言葉を脳がどう受け取ったかによって、次の反応が変わります。
「やるって言ったよね?」という言葉は、親からすれば正しい言葉です。約束を守ってほしい。切り替えてほしい。次の行動に移ってほしい。その願いは当然です。
けれど、その瞬間の子どもの脳は、「責められている」「コントロールされている」「やりたくないことを押しつけられている」と感じて、動きを止めてしまうことがあります。
一方で、「一番面白いところ教えて♪」という言葉は、一見すると、これからやってほしいこととは関係がないように見えます。
ところが子どもの脳は、「興味を持ってもらえた」「受け入れられている」「話していいんだ」と感じて、心を開き始めます。
この違いが、行動の違いを生んでいます。
つまり、問題は何を言うかだけではなく、その言葉が子どもの脳にどう届くかなのです。
この「脳に届く言葉」を考える視点は、発達に凸凹(デコボコ)のある子どもに関わるうえで、とても大切になります。
脳の発達の凸凹(デコボコ)に境界はない
「発達障害=脳の発達の凸凹」と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか。
「特別な問題がある子」「何かが足りない子」。そんなふうに思ってしまう人もいるかもしれません。
でも、脳科学の観点から見ると、そうとは限りません。人間の脳には、誰しも「得意・不得意」があります。そして、その凸凹の出方が少し目立ち、日常生活の困りごととして表れやすい子どもたちが、「発達障害」や「グレーゾーン」と呼ばれることがあります。
たとえば、身長を思い浮かべてください。
背が高い子もいれば、低い子もいます。
でも、「ここからが高身長で、ここからが低身長」と、はっきり線を引けるわけではありません。脳の発達も、これと同じです。

