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奈良・平群町のメガソーラー開発許可を取り消す判決…住民が異例の逆転勝訴に至った経緯

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奈良県平群町のメガソーラー造成現場(写真:平群のメガソーラーを考える会、2025年6月撮影)
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奈良県は調整池の必要容量を計算する際に、「大和川基準」「ゴルフ場基準」と呼ぶ2つの基準を組み合わせて使っている。原告は、下流域の河川や水路が狭隘で水を流す能力が不足する場合に使う計算方法(厳密計算法)が決まっているのに、「大和川基準」ではそれを使っていない点を問題視した。

また原告は森林法や林野庁が都道府県あてに出した通知は、林地開発許可を出すかどうか審査する際に「下流河川の改修状況や過去の水害発生状況、雨量を勘案し、下流に水害を発生させるおそれがないように求めている」と指摘した。これに対し、被告の県は原告の主張について、県が審査に使っている2つの基準の解釈や運用とは大きく乖離した独自の見解である、として否定。県の審査方法は、森林法や林地開発の解釈基準である「手引き」に沿ったものである、と強調した。

大阪高裁の判決は、原告の主張を認め、県は「厳密計算法を採用すべきである」と述べ、その計算方法を使うと4つの調整池すべてが、事業者の計画した容量では足りないことを数字で明示した。

建設造成地の下流域には住宅が立ち並ぶ(撮影:河野博子)

さらに判決は、雨が10時間続くことを前提にその場合の総雨量147mmに対応した調整池の容量を計画すれば十分、としている県の方法についても批判。このメガソーラーの調整池から3キロ離れた大阪府生駒山観測所の記録を調べ、49年間に日降水量(24時間の総雨量)が147mmを超えたケースが5回あるなど、近年の雨の降り方に着目。「想定を上回る降雨量があれば、下流河川の流下能力を上回る水量が流出し、水害や土砂災害が発生するおそれがある」と警鐘を鳴らした。

平群町は大阪近郊のベッドタウンで、平群の山の中腹からふもとにかけて住宅がぎっしり並ぶ。なかでも、メガソーラーの建設造成地から約800m離れた「椿台」(約500世帯)は建設造成地から流れ下る川や水路に囲まれており、住民が大雨に伴う土砂災害の発生をおそれ、23年8月に許可の取り消し訴訟を提起した。

平群町の位置(画像:国土数値情報を利用してごん屋が作成)

弁護士が「ほっとした」、原告住民や「考える会」が判決を歓迎

午後2時、長谷部幸弥裁判長が主文を言い渡した。数分後、傍聴席に詰めかけた住民から拍手が沸き起こり、法廷から出ようとしていた裁判長が振り返って手で制止した。住民たちの緊張した面持ちに、笑顔が戻った。判決に続き、大阪弁護士会館で記者会見した原告住民や弁護士は口々に判決を歓迎する言葉を述べ、表情をほころばせた。

判決を聞くため、大阪高裁に向かう原告住民ら(撮影:河野博子)

弁護団の中心になって原告住民の主張を整理し、奈良県に対峙してきた室谷悠子弁護士は「下流域で水害が起きるような違法な開発を森林法は認めているのかを、私たちは検証を積み上げて主張してきました。一審の奈良地裁判決後は、なぜ裁判を提起しても危険な工事が止まらないのか、という気持ちを抱えて、あきらめずにやってきた。ほっとしました」と話した。

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