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日本初2階建て「3Dプリンター住宅」誕生 造形はわずか"10日" 前例なき構造計算や法律の壁をどう突破したか

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2階建て3Dプリンター住宅
日本初の2階建て3Dプリンター住宅(撮影:門脇夏子)
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那須さんとは初対面で「3Dプリンターで家を建てたい」という思いが一致し、その場で意気投合。まずは設計における協力関係を築き、2024年には設計が始まると、前例のない2階建ての確認申請は、わずか3カ月という異例のスピードで許可された。

オノコムADC推進室で3Dプリンティング事業に取り組む那須貴寛さん(画像:オノコム提供)

「那須さんには私から『一緒にやりたいです』とオファーして快諾していただき、設計から入ってもらいました。ところが確認申請が下りて2カ月後に、当初依頼していた施工業者に『できない』と断られてしまって。基礎の鉄筋を含めて全体の監理までできる建設会社は少なく、急きょオノコムに『施工もお願いします』と泣きついたんです」

宮城県栗原市築館町でクリハラ生コンの代表取締役社長、築館クリーンセンター最高顧問などを務める大場一豊さん(撮影:門脇夏子)

そんなピンチを救ったのが、もう一人の恩人だ。大場さんにプロジェクトについて話すと「栗原市で建てるなら応援するよ」と言って、土地と建築費の支援を即決。地域に人を呼び、地域の未来につながるプロジェクトになると信じての決断だった。五十嵐さんは「お二人にたまたま出会わなかったら、実現できなかったと思います」と振り返る。

「ステルスハウス」周辺。自然を活かしながら人が集まる活気あるふるさとをつくりたいそう(画像:オノコム提供、撮影:植村崇史)

しかし、体制が整った後も、初めての試みゆえに現場は想定外の困難の連続だった。

・氷点下の真冬はモルタルが固まらずに垂れてしまった
・猛暑の夏はホース内で固まってしまった
・進行するうえで図面の修正も何度か必要だった
・想定外のことで予算がオーバーした

「着工してからは毎日ドキドキして、トラブルが起きないようにと祈っていました」と五十嵐さん。これほどの試練に見舞われながらも、現場の奮闘によってスケジュールに大幅な遅れはなく、印刷が予定どおり終わった瞬間は、胸のつかえがとれるような安堵感に包まれたという。

天井の窓には、重くなりがちなガラスではなくシート状の幕素材を使った幕天井を採用。非常に軽いため、地震時の天井落下リスクを大幅に軽減できる(撮影:門脇夏子)

五十嵐さんは、同事業で2025年3月11日の起業家万博で東北代表として最優秀賞の総務大臣賞を受賞。東北代表は2017年以来8年ぶりで、女性の受賞も珍しく、当時の総務大臣との記念撮影も実現した。

「今回は特殊なモデルですが、自治体などと連携して複数棟建設で量産化を進め、コスト削減と効率化を目指します。また、技術者を育成するアカデミー事業の計画などを準備中です。『1棟目を建てる』という志を共有して、何ができるかを探し、カタチにしてくれた協力会社のみなさんには、これからビジネスとしてしっかり還元していきたい」

五十嵐さんの挑戦はまだ始まったばかりだ。

「やれることは全部やってみよう」技術の挑戦を束ねた指揮者

五十嵐さんに伴走し、日本初の2階建て3Dプリンター住宅の完成まで走り抜いたのが、オノコムの那須貴寛さんだ。オノコムは、愛知県豊橋市で創業し、現在は東京に本社を置く、約90年の歴史を持つ実力派ゼネコン。そのスローガンは「なければつくる」だ。

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