母犬が出産後「謎の物体」を食べた?
一号さんから三号さんまでが、無事に生まれた。その間、4時間が経過していたが、犬のお産にかかる時間としては、平均的だ。残るは、未熟児の四号さんだけだ。みんな今か、今かと待っていたけど、四号さんはなかなか出てこない。
四号さんのために準備していたクリーム色の首ひもも、生徒さんたちの、小さな命への思いをのせて、その誕生を心待ちにしているかに見えたが、夜が明けて、朝になり、日が昇り始めても四号さんは出てこなかった――。
ついに、午前8時になった――。
「あれ…?」眠い目をこすりながら、そのとき、モニターで観察を続けていた児玉弥玲ちゃんは、杏子がいきんだ瞬間にお尻から出てきた赤黒い小さな物体に首を傾げた。
「…生まれた?」
いや違う…。一瞬、胎盤かなと思ったが、時間的に見てもおかしい。どうも様子が変だ。そのまま弥玲ちゃんがモニターを見ていると、次の瞬間、杏子がその物体を口に入れ「コリコリ」という軟骨をかむような音が、弥玲ちゃんの耳に届いた。「…え…? 食べた…?」

