つくばエリアの潜在力 TX開業10年ますます快調
全国791都市を比較した東洋経済新報社による「住みよさランキング2015」では、守谷市が10位、つくば市が16位にランクされている。成長力という指標で見れば、つくばみらい市が堂々の第1位だ。この3市の人口増には、アクセス以外にも人や企業を引き寄せる魅力があるのだ。
研究者の数は2万人
居住者も企業も続々
研究学園都市として整備されたつくばが世界的に知られるようになったのは、国際科学技術博覧会(TSUKUBA EXPO'85)が契機だった。だが、そもそも筑波研究学園都市は、東京の過密緩和を図るとともに、高水準の研究と教育を行うための拠点を形成することを目指した長期的な国家プロジェクトだった。
そして現在、この地域には筑波大学や産業技術総合研究所(AIST)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など32の国の研究・教育機関をはじめ、多くの民間の研究機関等が立地するなど、国際的な科学技術拠点に発展した。そうした研究機関などにいる研究者の数は約2万人、そのうち約8000人が博士号取得者である。日本中の英知が集まっていると言っても過言ではない。
この圧倒的な知の集積を最大限に活用し、日本の経済成長や科学技術の発展に貢献していくことを目的に設置されたのが、「つくば国際戦略総合特区」だ。この特区では「次世代がん治療の実用化」「生活支援ロボットの実用化」「戦略的都市鉱山リサイクルシステムの開発実用化」など全部で八つのプロジェクトが進められている。つくばには世界の最先端技術が結集しているのである。
大学や研究機関が持つ知的財産や総合特区の魅力に引き寄せられるように、企業も続々と集まってきている。つくば市にある企業の数は1970年代半ばの約3600社から現在は倍以上の約8000社にまで増えている。
つくばエリアの人口が増えている大きな要因は、これらの研究機関や企業に勤める研究者や技術者などが転居してきたこともある。