実はクールには、業務マニュアルが一切ない。自分で見聞きして学び、考え、行動すべき、という方針だからだ。だが、マニュアルがないことを「ゆるい」とはき違えていたスタッフも、当時はいたと島田さんは話す。
「例えばスタッフが、お客さんに背を向けておしゃべりしたり、スマホをいじっていたりしたら、そんなお店には行きたくないですよね。その積み重ねで、ボディブローのように経営が悪化してしまっていたんです。当たり前のことができているのかどうか、これはすごく大きいです」
そこで島田さんは、「昭和の親父」になることを徹底した。あまりにも意識が低いスタッフには、容赦なく雷を落とす。辞めてしまう人も入れば、真摯に受け止めて改善する人もいた。
結果的に3年ほどかかったが、スタッフたちはマニュアルがないことの意味をきちんと理解し、能動的に働いてくれるようになった。そして、売り上げも大きく改善されたとのことだ。
チェーン店ではまずない、オペレーションやサービスが魅力
ちなみにコーヒーの淹れ方や、フードメニューの調理方法などのマニュアルもないという。材料や分量は決まっているが、基本的には先輩に教えてもらった作り方を、後輩が伝承していくのだ。
そのため、スタッフによって得意メニューも異なり、味が若干変わることもあるという。チェーン店ではまずないオペレーションやサービスが、今も残り続けていることが、個人店ならではのユニークさだと強く感じる。

