「ここに居場所があるから、ここに住む」建物や立地より大切なこと
この家に集まってくる人たちのことを話すとき、セイヤさんの言葉に熱がこもった。
「老後の暮らしを考えたときに、“居場所”の問題があると思っていて。僕たちはたまたま生まれも育ちも市川で、たまたま長く住むことになった。その過程で、仲の良い友達ができ、いろんなコミュニティが生まれました。家や場所ありきじゃなくて、自分たちの生きてきた中で、知り合った人たちとの関係性を深く結べる、それが豊かな老後のためにより大切になってくると思っていて。無限に選択肢がある中で、それがあるから、僕たちはここに住み続けると決めたんです」
家は、暮らしの器だ。しかし、湊夫妻の家は、器以上のものになっている。アートの場であり、コミュニティのハブであり、子どもたちが帰ってくる場所であり、友人が集まる台所であり、夫婦2人、庭でコーヒーを飲みながら静かに次の楽しみを考える場所だ。リノベーションが、豊かな人間関係の未来を約束してくれた。
築50年超のM1住宅は、20年越しの家族や仲間たちとの記憶をまるごと抱えたまま、次の50年へと歩み始めた。
設計・施工|つみき設計施工社(共同代表:河野直・河野桃子)
取材・文/松川絵里
