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「あの子だけ特別扱いしている」"良い先生ほど消耗する"コンプライアンス時代の先にあるのは教育現場の絶望

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職員室で悩む教員
今の学校現場では「良い先生」ほど消耗するという逆説が生じている(写真:kapinon/PIXTA)
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結果として、現場では「強く言わない」「踏み込まない」ことが、教員にとって最も合理的な選択肢になります。叱るリスクは個人が負い、叱らないことのコストは社会全体で薄く分け合う。そうした構造が、教室から少しずつ熱量を奪っていきます。

挨拶の声が大きいだけでクレームになる

そしていま、教員に求められる「配慮」の射程は、かつて誰も想定しなかった領域にまで広がっています。

ある私立中学の入試の朝、若手の教員が受験生たちに「おはようございます!」と明るく、はっきりとした声で挨拶をしました。緊張している受験生たちを少しでもほぐしたい、という意図だったといいます。

ところが後日、保護者から学校にクレームが入りました。「あの挨拶が大きすぎて、うちの子が萎縮した」。学校側に悪意も落ち度もなく、むしろ受験生を励ますはずだった一声が、保護者の主観によって「不適切な対応」として処理されてしまったわけです。翌年以降、その学校のマニュアルには「受験生への声かけは控えめに」と書き加えられたといいます。

似た現象は、試験中の「消しゴム」をめぐっても起きています。大規模な公的試験の監督マニュアルには、受験生が落とした消しゴムを監督者がむやみに拾ってはならない、と明記されているものがあるそうです。理由はシンプルで、監督者が気づいて拾った生徒と、気づかれずに拾われなかった生徒のあいだに、対応の差が生じるからです。後から「うちの子だけ拾ってもらえなかった」とクレームが入れば、試験の公平性そのものが揺らいでしまう。

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