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〈AIが揺らす銀行の雇用〉近づく「大規模人員削減」の足音、学生や現場の不安は増すばかり

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(写真:ブルームバーグ)

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人工知能(AI)の普及が進むなか、金融業界を目指す学生たちは、採用選考の段階からAIとの競争に直面している。また採用されたとしても、自らの仕事が数年後も人間に担われているのかという不安は消えない。

金融機関の経営陣の多くは、AIの導入に伴って雇用が減少するとの認識で一致している。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は昨年12月、AIが「仕事をなくす」と述べた。シティグループのジェーン・フレーザーCEOも、一部の職種は「もはや不要になるだろう」との見方を示した。ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長は、自行の従来の銀行業務について、自動化が可能な段階に達した「人間の組立ライン」と表現した。 

スタンダードチャータードのビル・ウィンターズCEOは先月、人員削減計画を巡り「これはコスト削減ではない。場合によっては、価値の低い人的資本を、われわれが投入している金融資本や投資資本に置き換えるということだ」と述べ、物議を醸した。

こうした経営陣の発言を受け、業界では雇用への不安が広がっている。管理職など上位職であっても、将来的にAIに仕事を奪われるリスクは高まっているとの見方が出ている。

ダイモン氏ら経営陣は、一部の雇用を維持するため、従業員の再教育や技能習得支援の必要性を訴えている。ただ、それが実際にどのように機能するのかは不透明だと、英法律事務所ミシュコン・デ・レヤのデービッド・パーソンズ氏(労働法担当)は指摘する。

同氏は「ミドルオフィスは影響を受けやすいと言ってよいだろう。今回の自動化の波は、より上位の職種にも及ぶ点がこれまでと異なる」と語った。

マッキンゼー傘下のAIコンサルティング部門クオンタムブラックのデバシシュ・パトナイク氏によると、銀行は若手アナリストの採用人数を最大で3分の2削減する一方、AI人材の約62%を同じ新卒採用層から確保している。

パトナイク氏は、新卒採用は縮小するものの、完全になくなる可能性は低いとみている。「銀行業は徒弟制度のような業界だ。現在の若手アナリストが、将来のマネジングディレクターになる。上級職に求められる判断力は、一朝一夕には育たない」と述べた。

AI活用の広がり

現状では、銀行各社は顧客対応や取引・売買の監視業務など、特定の業務へのAI導入を進めている。

バークレイズの元CEOで、コンサルティング会社10xバンキング・テクノロジーズの創業者であるアントニー・ジェンキンス氏は、「自律型AIが全てを運営する万能銀行を目指すのではなく、今後数年は個別業務への導入が中心になるだろう」と語った。

シティグループは、顧客に資産運用の助言を提供する対話型AIアバターの導入を進めている。多言語対応のこのAIアバターは、例えば定期預金の満期時の対応や、子どもの大学進学資金の管理方法などについて助言する。

バークレイズは、顧客対応担当者による通話をAIで分析している。ベンカタクリシュナンCEOは今年に入り、こうした取り組みが雇用を削減することなく、業務効率の向上につながっていると説明した。

フィンテック企業レボリュートは最近、アプリ上で利用できるAIアシスタント「AIR」を導入した。利用者の支出内容を細かく分析し、支出の分類やカード利用設定の管理を支援する。同社で顧客体験とAI製品を統括するジュリア・ポノマレワ氏は、「メッセージを送る感覚で手軽に資産管理できるようにすることが狙いだ」と説明した。

一方、採用や面接の分野では、銀行がAI依存を強めることはないとの見方もある。人材紹介会社ロバート・ウォルターズのトム・レーキン氏は、リスクの大きさから、銀行がこうした技術を本格導入する可能性は低いと指摘する。

また、人員削減の進め方によっては差別につながるとの懸念も出ている。

英法律事務所ミシュコン・デ・レヤのパーソンズ氏は「若手社員を大量に削減したり、女性比率の高い事務部門の人員を削減したりすれば、大きな差別リスクが生じる」と指摘。「これは十分に認識されていないリスクだ」と語った。

AIを理由にした人員削減が、本当にAI導入によるものなのか疑問視する声もある。

JPモルガンのダイモンCEOは、5月に同行が上海で開催したイベントで「多くの企業は組織が肥大化し過ぎている。そもそも採用すべきではなかった人員を抱えていた事実を覆い隠すために、AIを持ち出しているのかもしれない」と語った。

若手採用への影響

AIは単純作業を減らす手段として期待されている。ただ、提案資料の作成や企業価値評価モデルの作成は、若手行員にとって重要な学習機会と広く考えられている。こうした業務の自動化が進めば、若手の育成や採用にも影響が及ぶ可能性がある。

ウォーリック大学で金融・ビジネス関連の学生団体を率いるティモシー・リー氏は、「新卒者が金融業界に入るのは以前より難しくなっている」と話す。

ウェルズ・ファーゴへの就職が決まっているリー氏は、「新型コロナ禍前は採用人数が大幅に増えていた。銀行の業績が良かった時期は採用も積極的だったが、今はそこまで人手を必要としていない」と語った。

もっとも、一部の銀行はインターンや新卒採用を引き続き進めている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)では今月、2000人の夏季インターンと、大学から採用した2000人の新卒社員がオフィスに集まる。リテール銀行業務、投資銀行業務、法人向け銀行業務など、8つの事業部門でキャリアをスタートさせるという。

同行は人員数を横ばいに維持することでコスト抑制を図る一方、社内で人材を再配置し、AIを活用して業務効率を高めている。

著者:Meg Short

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