——サッカーや野球はスタジアムですので撮りやすいですが、広いゴルフ場で1人1人を撮るのは難しいのでは?
津坂社長 難しくはありません。ゴルフは動きも激しくないので、ティーに1人、フェアウェーに1人、グリーンに1人いれば撮影は可能です。ボランティアもいるし、予選落ちしたキャディーさんもいるし、地域のジュニアもいます。皆さんが言うほど難しくないんです。スマートフォンでも十分に撮影できますが、もちろん高度なレベルの機器も使いながら、質の高いコンテンツを生み出していきます。
——過去の映像などのコンテンツはどう取得しますか?
津坂社長 コンテンツの内容は価値の問題ですから、値段の話です。そもそも彼ら(テレビ局など)の持っている過去のコンテンツは、今は使う場面が限定的になってしまっていると考えています。我々がハブとなり共有化していくことで、価値を顕在化させ、その利益をまた共有するという交渉です。
大事な歴史の財産ですので、我々としては持っている方々と権利の意見交換をしながら、最終的にツアーの共有資産とさせていただきたい。「歴史資産をどう未来につなげるか」ということも、今回のプロジェクトの重要なテーマの一つ。
ツアーが保有していないことで、ジャンボ尾崎(将司)さんが亡くなられたときに、どうしても名場面等の作り込みが限定的になる場面もありました。非常に寂しいですよね。権利を共有していければ、いろんなメディアに配信でき、世界に知っていただくとゴルフの価値も上がっていくのに、と思いました。
思い描く「これから」
——これまではファン獲得、スポンサー獲得にいい方策がありませんでした
津坂社長 ファン獲得は彼ら(JGTO)の仕事ではないですから。スポンサーもいろいろな取り組みを重ねてこられてきていますが、大会単位では限界がありました。これまで「それだけをやる」プロがいなかったのです。これからは、それをJ-Tourがやります。
スポンサー営業についても、これまでは担当者が企業を回り、「お願いします」「今年はおいくらぐらい協賛いただけますか」「昨年はこのぐらいの金額でした」という形で勧められることが多かったです。しかし、その金額や提案内容が本当に妥当なのかどうか、だれもわからないでやっていました。
これからは上場企業すべてにアタックすることになっています。スポンサーシップの(パッケージ)資料で、男子ツアーの魅力、そもそもなぜスポンサーになる意義があるのか、どのような費用対効果が見込めるのかを統計やデータを使って示していきます。
大会ごとの協賛では一発勝負で終わってしまいますが、ツアー横断の、いわば"横串"で関われば、シーズン通して価値が上がっていく。コンテンツもどんどん出てくる、ビジネスにつながります。
スポンサー向けの資料には、そのような話を書いています。すでに、いろいろなスポーツからも「うちも一緒にできないですか」という話が入ってきています。男子ゴルフツアーで1、2年やって仕組みが固まってきたら、ほかの業界でもノウハウを使っていただければと思います。
——何年後の数値目標、というのはありますか?
津坂社長 数値目標はまったくありません。中長期的には、試合価値の向上、観客数の増加、配信会員数の拡大、スポンサー価値向上、海外露出強化、デジタル収益拡大などを目指していきます。
たとえば、単にトーナメント数を増やすということだけではなく、「ファンとの接点数」「若年層リーチ」「デジタル会員数」「海外視聴数」「スポンサー価値」といった指標を重要なKPI (重要業績評価指標)として捉え、ツアー全体としての価値向上を図っていきたいです。
NSSKとしてできる限りのことをやらせていただきますが、将来的に、日本男子ツアーの成長にとってより適切なパートナー、いわゆる「ベストオーナー」が存在すると判断される場合には、最適な選択肢を検討していく考えです。
仕組みとして我々(NSSK)がいなくなってもツアーが回せるような組織を残し、ノウハウを残し、技術を残し、やり方を残すことが大事だと思います。
