澤田:中国と韓国は、92年に国交樹立しています。中国は、01年にWTOに加盟して「世界の工場」となって経済発展を果たしました。そして韓国は、中国に部品や素材、設備を売って利益を得たのです。
そうした関係は、10年代以降に大きく変わりました。現在の対中依存は、日本で考えられているほどではありません。ただ、それでも経済的に無視できる相手ではありません。それに中国は韓国にとって陸続きの隣国ですし、歴史的にも圧迫されてきた。この感覚は残っているように感じます。
もちろん北朝鮮に対する影響力を中国に期待するという面はあるのですが、それを抜いても、韓国にとって中国と喧嘩するという選択肢はないように思います。
在日米軍と在韓米軍の決定的な違い
みたらし:丹羽さんの書籍には、日米の関係性が、戦争に巻き込まれるかどうかに強く関係すると書かれています。では、韓国とアメリカの関係性はどうなのでしょうか。
澤田:実は、60年代から70年代にかけてのベトナム戦争では、米軍に次ぐ規模で韓国軍が派兵していました。それは、アメリカから要請されたのではなく、韓国が「うちが出します」と言ったんです。
というのも、当時の韓国は53年に北朝鮮との戦争が「休戦」したばかりで、常に北朝鮮の脅威にさらされていました。韓国軍よりも在韓米軍のほうが装備も良く、練度も高くて、軍事的に強い。だから、北朝鮮は韓国軍よりも、在韓米軍のほうを怖がります。
もしアメリカがベトナム戦争にかかりきりになり、米軍がすべてベトナムへ行ってしまったら困る。だから「韓国軍が(ベトナムへ)行くから、在韓米軍は韓国にいてください」ということです。もちろん、アメリカから最新式の装備をもらうなどというメリットも大きかったのですが、基本は在韓米軍の抑止力を切実に必要だと考えていたことがあります。
極東地域全体に展開するための基地が在日米軍です。それに対して在韓米軍は、韓国を北朝鮮から守ることが基本的な任務になっています。21世紀になってアメリカは、他地域にも投入できるよう在韓米軍の性格を変更してきましたが、基本は変わっていません。日本と韓国では、駐留する米軍の性格がかなり違います。
(後編は6月2日公開予定です)
