前者のほうが見栄えもよく、論理的には有利なはずだった。しかし結果は完全に予想の逆だった。ボトルが直接見えるデザインのほうが、明らかによく売れた。
筆者の研究では、消費者は商品パッケージに対して、脳内で人の顔を見るときと同じ情報処理を行っていることが確認されている。パッケージは文字通り「商品の顔」だ(図3)。顔が見えると信頼が増すーーこの原理は、アスプリールの実験で実証された。
図3:化粧品1次パッケージと擬人化方略
ナフサ危機でパッケージはどうなる?
ただし、前述の通り、生鮮食品とスナック菓子では「何が見えると消費者の心が動くか」が根本的に異なる。
生鮮食品(必需品)は「中身の素顔(鮮度・色・状態)」が見えることが安心・信頼につながる。
スナック菓子(嗜好品)は、バラエティ・シーキング型という購買心理を踏まえれば、消費者が求めるのは安心・信頼だけではない。「選ぶ楽しさ・ワクワク感・発見の喜び」という感情的な満足も同時に求めている。
つまりスナック菓子において透明化は、単に信頼を伝える手段にとどまらない可能性がある。中身の「素顔」――色鮮やかなチップスや食材そのものーーが直接見えることで、食欲喚起という感情的反応も同時に引き起こすとすれば、透明化は嗜好品にとっての新しい「感情体験の扉」になり得る。
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【ナフサ危機は食品パッケージ市場にもたらす変化】
