スナック菓子はこの中で「バラエティ・シーキング型購買行動」に位置付けられる。関与度は低いが、ブランド間の知覚差異は大きい。つまり、「前回はポッキーを買ったから今日は別のお菓子にしよう」という、目新しさ・違いを楽しむ買い物だ。
この購買行動の背景には、前述した感情的・情緒的な欲求がある。「選ぶこと自体が楽しい」「新しいものを発見したい」――そのワクワク感を最初に引き起こすのが、パッケージの色・デザインだ。
オレンジのカルビー、黄色い湖池屋、緑のプリングルズーー色は商品の「個性の顔」として機能し、消費者の感情を動かす最前線だった。
白黒化は、その感情的な差別化機能を根本から失わせる。技術的・経済的制約だけでなく、消費者が求める「楽しさ・ワクワク感」にも反していたのだ。
注目すべきは、これらすべてのフィルム(アルミ蒸着も透明蒸着も通常の透明袋も)のベースフィルムは、PETやポリプロピレンなど、ナフサ由来の石油化学製品だという点だ。
企業側には、「どのフィルムを選ぶか」という問いの前に、「パッケージを通じて消費者に何を伝えるか」というより根本的な問いが存在する。今回のナフサ危機が突きつけたのは、まさにその問いだ。
「見える」ことが信頼を生む
ここで、私が資生堂時代に行った店頭実験を紹介したい(前回記事でも触れたが、今回の論旨に直接関わるため再度取り上げる)。
神奈川県内の大手スーパーで、スキンケアブランド「アスプリール」の2種類のパッケージを比較する実験を行った。一方は高級感のあるボトルのイラストが描かれた紙ケース(顔が見えない)、もう一方はケースの一部を透明にして中のボトルが直接見えるデザイン(顔が見える)だ(図2)。
図2:「店頭販売実験 化粧品の透明パッケージと擬人化心理」
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【顔が見えると信頼が増す】
