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2022年11月のチャットGPT登場以降、生成AIは急速にビジネスの場へ浸透してきた。多くの企業がAI活用に意欲を示す中で、私が身を置くコンサル業界では「AI導入コンサルティング」に携わるための人材を新たに雇う動きさえ見られる。「人間の仕事を奪う」とされるAIが、目下コンサルタントの雇用と商機を生んでいるわけだ。
ただし、「導入コンサル」の隆盛は長くは続かない。大口案件はいずれ尽きるし、事例が蓄積するにつれ、AIプロジェクトを外注せず社内の既存人材が担うハードルも下がっていくからだ。
現時点においてすでに、実務者主導でのAI活用、ビジネスへの実装は可能になってきている。新たな技術を取り入れるに当たって、従来の業務フローとの兼ね合いやリスク対応を自社の状況に即し考えていく必要はあるが、それはAIに限ったことではない。
本稿では、「読者が社内のAI導入、活用を任されたら」という場面を想定しつつ、その際、助けになってくれる良質な書籍を8冊紹介する。プロジェクトへの関わり方によって、必要な情報の種類や深度は異なるので、自身の立場に応じてどの本を手に取るか選んでほしい。
リーダーに必要な知識
もしもあなたがAI導入プロジェクトのリーダーであるなら、社内向けのプレゼンで「そもそも大規模言語モデル(LLM)とは何なのか」「生成AIはどのような技術によって動いているのか」といった疑問について、解説を求められることもあるだろう。
そのためにまず読むべき本が、『大規模言語モデルは新たな知能か ChatGPTが変えた世界』(岡野原大輔 著、23年)だ。約130ページで、コンパクトにLLMの基礎を押さえられる。
同じ著者の『AI技術の最前線 これからのAIを読み解く先端技術73』(岡野原大輔 著、22年)も持っておきたい。最初から通して読むというよりは、AIにまつわる技術や概念について知りたいときに、レファレンスブックとして活用できる1冊だ。
前2冊を無理なく読めたときには、『原論文から解き明かす生成AI』(菊田遥平 著、25年)を薦める。AI技術にまつわる主要論文を、専門知識がなくても何とかついていけるレベルにかみ砕いて紹介してくれる本だ。読み物として興味深いことに加え、デスクに置いておけば、「学術面まで理解しているのか」と周囲の尊敬が集まるかもしれない。
AIの領域では、論文が発表されるや実装に向けて動き出す。開発者たちですら「LLMに働きかけた際、何が起こるかは自分たちも完全にはわからない」という激しい世界だ。これら3冊からは、そうした臨場感にも触れられる。
実務を教えてくれる本
実務に臨むための教科書として取り上げるのは2冊である。
『最速でわかる生成AI実践ガイド』(山田博啓 著、26年)は「まずは生成AIの基本を知ろう!」「実践!プロンプトエンジニアリング」「生成AIを『システム導入する』アクション集」といった章立てで、実用的な知識を平易に学べる。
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【日立らしい事例が面白い】
