『実践 AIエージェントの教科書 構築技術と豊富な活用事例で学ぶ』(日立製作所 AI CoE 監修、25年)は、目標達成のため自律的に判断・行動する「AIエージェント」について、コンセプトから実践例まで丁寧に教えてくれる。
例えば、「営業事務を自動化せよ」と言われたとき、本書の事例を参考にすればゴールまでの道筋が見えてくるだろう。参考書としての使い勝手が非常によい。登場するのが鉄道運行や製造業の事例など、日立らしいのも面白い。
次は法的リスクをめぐるものだ。AIのビジネス実装過程で直面する課題はほぼすべてがリーガルマターといっても過言ではない。インプットしたデータの著作権が典型だが、自社や他者(他社)の権利が損なわれてはいないか。法務担当者と協力し、法的問題をクリアしなければならない。
その際に重宝するのが、『AIと法 実務大全』(STORIA法律事務所 柿沼太一、杉浦健二 著、25年)だ。本書の特長は、法律の条文からではなく直面する課題から逆引きで、法的論点とその対処法にたどり着くことができる点だ。9130円と高額だが、その価値がある。法務部や弁護士との議論の前段階で、指針となる書だ。
知識なしでも使えるAI
最後に紹介する2冊は、生成AIを分析ツール、あるいはアイデア出しの補助ツールとして活用するための実例集だ。
生成AIから、高精度な回答を引き出すため、プロンプト(指示)を設計・最適化する技術をプロンプトエンジニアリングという。『プログラミング知識ゼロでもわかる プロンプトエンジニアリング入門 第2版』(掌田津耶乃 著、25年)は、その方法論がしっかり書かれている。例えば、「箇条書きがよい」「まず手順を説明してから出力させるとよい」といったプロンプトのコツがなぜ効くのか。仕組みも含め解説される。読めば、構造を理解したうえでプロンプトを作れるようになる。
「いや、そんなのダルいから、何を入力するか自体を教えてください」という求めには、『打てばわかるさ! AI 1行プロンプト100』(伊東和成 著、26年)が応える。そのまま使えるプロンプトが100個掲載され、生成AIに親しむ入り口としても有効だ。
入門者は、本稿で紹介した8冊を反対の順番で読んでいくと、具体から抽象への流れができ、理解がスムーズになるだろうか。
AIに関しては、高度な技術書から学術書、自己啓発書まで、とにかく多数の本が出版されている。書店の棚で何を読むべきか逡巡した際に、ここでの紹介がヒントになれば幸いだ。
(構成:山田俊浩、山本舞衣)
