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「私が死んだら娘はどうなるのか」重度障害児の親が抱える不安を「補助金ゼロ」の"家"が解消する理由

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熊谷勇太さん
IDEALの部屋のうち、ロフトがある一室(写真:筆者撮影)
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熊谷さんは、世田谷区主催の勉強会や会議には可能な限りすべて出席し、区議会議員にも挨拶にまわった。IDEALのための会議が組まれると、何十回も説明を繰り返し理解を広げた。

入居者も介護士も「腹いっぱい食える」経営設計

冒頭で触れたとおり、IDEALの入居者は本人の障害年金と各種給付金だけで一生涯暮らしていける。なぜそれが可能なのか、内訳を見てみよう。

前述のケンジさんの場合、家賃は12万円。その他に管理費と水道光熱費、諸経費に食費やオムツ代などを加えて、生活費は全部で月20万円程度だ。

ちなみに、胃ろうの人であれば、食費に当たる栄養剤の費用は医療保険でカバーされ、入居する棟や部屋によっては光熱費と家賃もより低コストになる。入居者のなかでもケンジさんの生活費は高い方だが、妻のヒロミさんによれば、今はケンジさんの障害年金、自治体の手当、そして重積発作の原因となった医薬品被害救済等で賄えているという。

居室には様々なタイプがあり、こちらの部屋にはロフトがない。部屋に置くインテリア用品も、介護士が一緒に買い物に行って本人が選んだものだという(写真:筆者撮影)

そうできているポイントは、ケンジさんが受けている「重度訪問介護」が基本は全額公費負担で、本人負担がほぼかからない点にある。

生活費はあくまで「家で暮らすための実費」であり、ケアの費用の一部は含まれない。該当する各種給付金の申請は入居者により異なるが、「親なきあと」が問題視される重い障害や手厚いケアが必要な人を前提としているため利用できるものは多く、申請は熊谷さんも一緒に手伝う。

つまり入居者にとってIDEALは、「重度訪問介護を最大限活用しながら、自分のお金の範囲で一生涯暮らせる場所」として設計されているのだ。

ただしヒロミさんは「将来的に制度変更などの可能性もあり、一生暮らしていけるとは言い切れないとも思っています。利用はするけど、そこに甘えすぎないようにしたい」と語る。

重度訪問介護についても、自治体ごとに活用の度合いは異なるものの、「使いたいのに使えない」という状態の人も多くいるという。必要な人が適切に利用できるよう、どうバランスを取っていくかも自治体全体としての課題だ。

一方、運営側の経済性はどうか。

実はHABINGの収益のほとんどは、IDEALの家賃ではなく、訪問介護・訪問看護事業によるものだ。1棟数億円の建築費に加え、電気代だけで月20万円以上。家賃収入だけでは、定員7人がすべて埋まっても到底割に合わない。

「訪問介護だけをやったら、多分今の10倍は稼げます。それでも必要だと思っているからシェアハウスをやっているし、箱(IDEAL)を持っているからできるっていう側面もあるんです」

ここで効いてくるのが、介護士の働き方だ。

およそ20名の社員は、熊谷さんも含めて全員が介護士の資格を持ち、痰の吸引や経管栄養に対応できる「喀痰吸引等研修」も受けている。社員以外の登録者を合わせると50名の介護士が所属。彼らはIDEALの入居者が日中通所サービスに通っている間、地域の家庭を訪問する。

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【介護士の「労働時間のロスをなくす」設計】

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