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「私が死んだら娘はどうなるのか」重度障害児の親が抱える不安を「補助金ゼロ」の"家"が解消する理由

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熊谷勇太さん
IDEALの部屋のうち、ロフトがある一室(写真:筆者撮影)
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法制度の枠にこだわると、思い描いていることが実現できないと悟った熊谷さんは、制度の外でできることを考え、シェアハウスをつくった。シェアハウスは福祉施設ではないので、補助金はゼロ。その分、何の法的制限も受けない。

「言ってみれば、僕がでっかい家を建てて、みんな一緒に住んでるだけなんです。だから、施設のように決まったスケジュールもないし、24時間365日誰が来てもいい。朝ごはんを食べたくないときは食べなくたっていいし、お正月に家族が来て、ここで宴会をやってた人もいる。それでいい場所なんです」

東京都からは「違法性はない」と事実上の許可を取り付けたものの、世田谷区には当初「前例がない」と一蹴された。その後、何十回も区に足を運んで説明を繰り返し、最終的には「何かあったら相談して」と言われる関係になった。

『負けないで』に夫が流した涙

IDEALに2022年から入居している岩田ケンジさん(仮名)は、数年前に重積発作を起こして重度心身障害者となった。妻のヒロミさん(仮名)は、「自分が仕事を続けなければ共倒れになる」と考えて入所先を探した。

ところが、入所施設から断られたり、条件が合わなかったりして途方に暮れる。IDEALの情報を見つけたのはそんなときだった。

「正直、(IDEALは)福祉施設でもないし、最初は『大丈夫かな?』っていう気持ちがなかったわけじゃないんです。でも、夫は子どもではないので、ルールや制度で守られ過ぎるよりは、彼らしくいられるところがいいかな、と思っていたことと、熊谷さんをはじめとするスタッフの方々のビジョンや熱量を信じよう、と思って決めました。私は仕事が不規則なので、24時間いつでも会いに来られるのがとてもありがたいです」(ヒロミさん)

ケンジさんには意識障害があり、ヒロミさんのことも認識しているかわからない状態だ。IDEALに入居した当初は、呼びかけても表情も変わらず、「壁のよう」だったという。

あるとき、IDEALのスタッフが海が見渡せる公園に連れ出してくれた。「リハビリ」と称してヘルパーに支えられ、手すりにつかまって少しずつ進むケンジさんを見て、ヒロミさんは24時間テレビのように『負けないで』を歌った。すると、それまで表情を失い、「仏頂面」だったケンジさんが、唐突に涙を流したのだ。

「そこから少しずつ表情が増えて、今では笑ったり、たまに泣いたり。ヘルパーさんたちが人間らしく接してくれるおかげで、表情の種類は格段に増えました」(ヒロミさん)

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【入居者のシェアハウスでの暮らし】

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