特に、誰かのサポートがないと生活することが難しい重度心身障害児を持つ親にとっては、差し迫った問題だ。現状、成人後は通所サービスや短期入所を利用しながら家族がケアを担うか、入所施設に入る場合がほとんどだ。
ただし、入所施設は待機者が多く、数年単位で待つ場合も少なくない。そもそも国は、障害者を施設や病院から地域のグループホームなどに移行する施策を進めており、施設は減少傾向にある。
とはいえ、全介助や医療的ケアが必要な人の場合は、夜間に人手が手薄になりがちなグループホームでの共同生活は現実的ではない。
こうした構造上の欠陥が、「親なきあと」問題を長年解決できずにいる原因でもある。
熊谷さんがシェアハウス構想を始めたのも、この壁にぶつかったからだった。
ホテルのような「家」、すべてに意味がある設計
「できた当初は、『新しいカフェですか?』って近所の人が訪ねてくることもありました」
そう笑う熊谷さんに案内され、「IDEAL 千歳船橋」の中に入る。
2階のリビングには六角形のテーブルが3つ並び、ベランダからは目の前の公園が見渡せる。冷蔵庫が3つ並ぶオープンキッチンは、まるでクッキングスタジオのようだ。
「この六角形の大きなテーブルは、2つに分けることができて、それぞれ高さを調節できるんです。天井にあるライトも車椅子の人が眩しくないよう、ひとつひとつ色や光量を調節できます。この建物のすべてに意味があるんです」
次ページが続きます:
【「人生の最後まで守る」思想で作られた建物】
