前出のウェス・ストリーティング氏やバーナム氏は首相選に意欲を見せる。しかし、スターマー氏の辞任を望む声はあるものの、彼に変わる圧倒的支持を得る候補者は挙がっていない。
そもそもスターマー氏は地味な印象が強く、党首としての情熱に欠けると指摘されている。また、左派支持層が保守党との政策上の違いを明確にできていないとも批判されている。近年、EU離脱に対する是非の議論が浮上し、スターマー氏が離脱の判断の正当化を十分にやっていないと批判されている。
スターマー氏はすでにレームダック化していると指摘する専門家は少なくない。それに、トランプ政権によるホルムズ海峡封鎖措置について「支持していない」と発言したが、それでも人気が上がったわけではない。
揺らぐドイツ・メルツ政権の基盤
一方、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相の人気も過去最低水準にまで落ち込み、就任からわずか1年余りで脆弱な連立政権の苦境をさらに悪化させている。
メルツ首相は国民に対し、事態は依然として正しい方向に向かっていると説得するために全国を遊説したが、結果は思わしくないだけでなく、問題をさらに悪化させていると指摘されている。
26年4月30日、メルツ首相はドイツ北東部で旧東ドイツだったザクセン=アンハルト州のアルトマルク・ザルツヴェーデルを訪れた。ここは26年9月に実施予定の地方選挙を前に、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が世論調査で大きくリードしている地域だ。
ここで、エネルギーから医療保険に至る広範囲の価格高騰に対する疑問から、連邦職員の給与引き上げについて、皮膚がんを患っているという女性がメルツ首相に疑問を投げかけた。
これに対しメルツ首相は「連邦政府職員の給与を引き上げることを検討した者は、これまで1人もいない」「虚偽の発言を繰り返さないでほしい」と冷淡に言い放った。
実際に給与引き上げは虚偽だったが、対応がひどいというイメージだけが有権者に残り、中でもドイツの『ターゲスシュピーゲル』紙は「メルツ首相ががんを患う女性に説教:首相はどれほど無神経なのか?」との見出しでこのことを報道した。
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【有権者からの強い不信】
