高校の校長から部活指導者を「この先生は、本当に熱心に指導をしている。教師の鑑ですよ」などと紹介されることもある。実はその校長が熱心な部活指導者だったケースも多い。部活指導で実績を上げた教員が、教頭や校長になり、さらには県教育委員会の幹部へと昇進するパターンもある。総体的に言って、日本の高校教育は「部活至上主義」に対して肯定的だとは言えるだろう。
もちろん、今回の事故の直接原因や責任の所在は、今後の捜査や検証を待つ必要がある。しかし部活動の「過熱」が、こうした長距離・早朝出発の遠征を常態化させている可能性は否定できないだろう。「部活も、趣味も、勉強も」ではなく「部活がすべて」という前のめりの姿勢が、教員、生徒、保護者の負担を過度に増やしていないか。
高校の下の中学では、教員の長時間労働是正と専門的な指導の確保を目的に、全国の公立中学校で部活動の地域移行が進んでいる。また、同様に教員の負担軽減などを目的として「全国中学校体育大会(全中)」は規模が大幅に縮小され、水泳やハンドボール、体操など9競技が2027年度から実施競技から外れる方針となっている。
遠征に「総量規制」を設けるべき時期に来ている
本来、高校部活もそういう形での体制の見直しが必要だと思うが、「部活至上主義」の信奉者が多い高校部活の改革はなかなか難しいだろう。その背景に「甲子園」「インターハイ」という巨大な「国民的行事」が存在することも指摘しておきたい。
日本のスポーツの水準を「高校部活」が担ってきたのは事実だが、今は「個々人の自発的な鍛錬」が、アスリートの成長を促す時代でもある。「強固な師弟関係」「集団での猛練習」は、時代遅れになりつつある。
一部の県教育委員会は「遠征には公共交通を使うように」とか「正規のバス会社を使うように」などの通達を出しているが、部活の「遠征」については「移動距離は往復200km以内」「月1回まで」などの「総量規制」を設ける必要もあるだろう。日本のスポーツ界は昔から「放っておくとすぐに熱くなって、極端なハードワークを選手に強いるようになる」のだ。「教育」の本来の目的に立ち返って「冷静な視点」が必要なのではないか。
