健康のデータとグリーンスペースのデータを入手できたので、グリーンスペースの近くに住むことと、健康状態との関係を調べた。ほかにも、年齢、学歴、収入など被験者の人口統計学的情報も入手した。これらの変数は健康の度合いに影響を及ぼしうる要素であるため、非常に重要なのだ。
こうして大量のデータを分析したところ、驚くべき結果が出た。近所に樹木がたくさんあることと、より良い健康状態は相関していたのだ。居住地のどこのブロックであれ、平均的な大きさの木がわずか10本多いことと、住民が自認する健康の度合いが1%増大することが、相関していたのである。住民の年齢、学歴、収入がどうであれ、結果は同じだった。
たった1%、と思うかもしれない。だが、それを言うなら、10本だってだいぶささやかな数だ。それに、より健康だと人々に自認させるのは、じつに難しい。健康だという認識を1%高める方法をほかに挙げるとすれば、1万ドル分裕福にして─―さらに1万ドル分裕福な人々が暮らす地域に転居させる。あるいは、7歳若返らせる。これほどまでに、健康だという認識を高めるのは難しいのだ。
街路樹11本が「2万ドルの支給」に匹敵する
でも、あなたはいま、こう考えているかもしれない。健康だと感じることなんか、どうでもいい。実際の罹患率はどうなんだ?
おっしゃるとおり。私たちも、その点を調べてみた。すると、平均的な大きさの街路樹が11本多いこと(つまり、健康だと自認する効果があらわれる本数より1本多い)は、脳卒中、糖尿病、心臓病などの心代謝性疾患の罹患率1%減少と相関することがわかった。もちろんこちらも、年齢、教育、収入の違いにかかわらず、だ。
この1%の減少効果を金銭で実現させるには、全世帯に2万ドルほど渡したうえで、所得が(中央値で)2万ドル高い地域に転居させる必要がある─―さもなければ、魔法を使って1歳半若返らせるかだ。
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【スマホの電源を切って「森林浴」に出かけよう】
