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「老衰」ではなかった? 丸くてぬるぬる…水族館の人気者28歳のアザラシを解剖して初めてわかった"本当の死因"

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ゴマフアザラシ
今回はぽてっとしたフォルムがかわいらしい、水族館の人気者「アザラシ」の話です(写真:MYAEZAKURA/PIXTA)
  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
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死因を調べる病理解剖でも、アザラシ特有の苦労があります。

まず、体が丸いこと。そして、手足が短いこと。さらには、体表が短い毛に覆われており、この毛は水に濡れるとつるりとした質感になること。つまり、解剖中に遺体を固定しておくことが大変なのです。

このときも獣医師さんに遺体を支えてもらいながら、何とか解剖を進めました。

また、厚い皮下脂肪は、解剖刀の切れ味を落とし、途中で何度も刃を研ぎ直すことを強います。さらに、魚食動物ですから、遺体には強烈な魚臭さもあります。

すぐ転がってしまう体、ぬるぬるした脂、魚臭さ……アザラシの病理解剖は、こうした彼らの体の特徴と向き合う作業でもあります。

ゴマフアザラシの寿命

後日、病理診断の結果を伝えた際、水族館の獣医師さんは、「うちでは高齢の鰭脚類が増えているので、なんとか病気を早く見つけられるようにしたい」と話しておられました。

飼育技術の向上により、ゴマフアザラシは飼育下で30年、個体によっては40年以上も生きるようになりました。それ自体はよいことですが、長く生きる個体が増えれば、今回のがんのような、加齢に伴う病気の発生も増えます。

皮下脂肪が厚いアザラシのがんを早期発見することは、簡単ではありません。ただ近年は、「ハズバンダリートレーニング(受診動作訓練)」に取り組む水族館や動物園が増えてきました。

これは、動物が自分から体重測定や採血、体の観察などに協力できるようになるためのトレーニングです。

アザラシが自分から体重計に乗ってくれる。採血しやすい姿勢をとってくれる。体の特定の部位をよく見えるようにしてくれる。そうしたことができるようになれば、彼らの健康状態の変化をより把握しやすくなり、病気の発生に気づける可能性は高まります。

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【大学では学ぶ機会がない生態】

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