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「老衰」ではなかった? 丸くてぬるぬる…水族館の人気者28歳のアザラシを解剖して初めてわかった"本当の死因"

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ゴマフアザラシ
今回はぽてっとしたフォルムがかわいらしい、水族館の人気者「アザラシ」の話です(写真:MYAEZAKURA/PIXTA)
  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
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海に棲む哺乳類のうち、遊泳に適した鰭(ひれ)状の四肢を持つグループを、鰭脚(ききゃく)類といいます。鰭脚類はアシカ科、アザラシ科、セイウチ科で構成され、ゴマフアザラシは名前でわかる通り、アザラシ科に属します。

アシカとセイウチは前足が発達していて、陸上では上体を起こし、四肢を使って歩くことができます。

一方のアザラシは前足が短く、陸上では常に腹ばいです。アシカやセイウチのようにうしろ足を前に出すことができず、体をイモムシのように上下にくねらせて移動します。

泳ぎ方にも違いがあります。アシカやセイウチが前足を左右同時にかいて進むのに対し、アザラシは前足を体に密着させ、そろえた後ろ足を左右に振って泳ぎます。

体つきに目を向けると、鰭脚類はいずれもボテッとした丸みのあるシルエットをしています。冷たい水中で体温を維持するために、分厚い皮下脂肪をまとっているからです。

そして、アザラシは、アシカに比べて首が短く、手足も短く、耳たぶ(耳介)もなく、水の抵抗を受けにくい流線型をしています。アザラシのほうがアシカよりも、水中での遊泳により特化した体つきをしているのですね。

ただし、その体つきは、病気を見つける、あるいは死因を特定するうえでは、厄介な面もあります。

首のあたりに「異常」を発見

さて、解剖を進めていくと、首のあたりにある甲状腺に腫瘍が見つかりました。後日、組織をさらに顕微鏡で観察したところ、腫瘍は悪性、つまりがんであり、リンパ節と肺にも転移していることがわかりました。

このゴマフアザラシは、甲状腺にできたがんが体内に広がり、最終的に肺に転移したことによる呼吸不全で亡くなったと考えられます。生前、目立った異常がなかったように見えても、体の中では病気が進行していたのです。

アザラシの病理診断では、このように解剖して初めてがんが見つかり、その時点ですでに進行していることがしばしばあります。分厚い皮下脂肪に阻まれて、体の外からしこりを見つけるのが難しいのです。体の奥にできた腫瘍になると、生きている間に外から見つけることはさらに困難です。

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【かわいらしい体つきが問題に】

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