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強烈な逆風が吹くが… インドが「EV化」を強引にでも進める理由 日本やアメリカとは異なる"インドの実態"とは

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インド政府は、「2030年までに自家用車の販売台数の30パーセントをEVにする」という目標を掲げている(写真:Beautiful-Scenery-Japan/PIXTA)
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2023年1月の時点では、インドの公共充電スポットは5000カ所もなかった。これでは、EV100台につき1カ所にも満たない。世界に目を向けると、平均して10台につき1カ所以上ある。EV化の目標を達成するには、充電インフラのさらなる充実が不可欠だ。

インド政府による充電スポットの公募プロジェクトの1件目は、公共団体によって落札された。その一方で、自動車業界も自ら充電インフラ問題の解決に乗り出している。

インドの自動車メーカーのタタ・モーターズは、電力事業を扱う関連会社のタタ・パワーが全国に展開している充電スポットに加えて、自社の販売店にも充電スポットを設置すると発表した。タタ・グループのEVを推進する取り組みは包括的で、EV車種のラインナップの増加や、リチウムイオンバッテリーとバッテリーパックの開発も進めている。

タタ・モーターズはそうした取り組みを通じて、マルチ・スズキ・インディアやヒュンダイに奪われた首位の座を奪還しようとしているのだ。

どの国もそれぞれ独自の問題を抱えている

すべてが計画どおりにいけば、今度はインド国内の道路がゴールドラッシュの舞台となり、EVを走らせようとする人々が殺到するだろうが、そのためには多大な努力と明確なビジョンが必要になる。

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それに加えて、必要不可欠な原材料のいくつかが、国内で発見されればなおよい。研究機関や大学を通じて、高価で需要の多いリチウムイオンバッテリーの代替品(例:炭素を使ったバッテリー)の開発や、低コストで大量生産する力を向上させる技術の研究を進めてもいいだろう(そうすれば、アジアでバッテリー製造をリードする中国への依存を減らすことにつながる)。

いずれにせよ、連携が重要になることは間違いない。生産から消費に至るサプライチェーンの連携に加えて、政府や市民レベルでの連携も欠かせない。それにもちろん、投資や技術的なノウハウというかたちで、企業の協力も必要になる。

インドで電気の夢を実現しようと思うなら、インド政府はさらに踏み込んで、自動車メーカーと消費者がともに改革を進めていける環境やシステムを構築すべきだ。

インドの交通手段の80パーセントは、渋滞する道路を使用するものだ。そのため、政府は意欲的に道路建設ブームを牽引し、民間企業もそれに伴い、企画設計から建設作業に至るまで積極的に関与している。

インド政府は国内の交通ネットワークの改良に、1兆ドルの予算を割り当てた。

それにしても、交通インフラの改良を急ピッチに進める恩恵にもっともあずかることになるのが鉄鋼や自動車製造といった重工業の分野だというのは、何とも皮肉な話だ。

EV革命は進行中で、そのスピードは間違いなく加速している。

しかし、できるだけ早く実現させようとするなかで、どの国もそれぞれ、経済的な障壁、技術の開発、消費者の姿勢、政府の方針といった独自の問題を抱えているのだ。

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