老化のスピードには大きな個人差があるうえに、日々の習慣次第で進行を緩やかにすることができます。
心臓の老化が引き起こす「負のスパイラル」
「最近、少し動いただけで息が切れる」「疲れがなかなか抜けない」。こうした些細な変化は、単なる加齢のせいだけではなく、心臓の老化が招く「負のスパイラル」の入り口かもしれません。
心臓は全身の司令塔であり、その機能が低下すると、ドミノ倒しのように体全体の健康が崩れていくのです。
スパイラルの発端は、心筋の衰えによるポンプ機能の低下です。心臓が一度に送り出す血液の量が減ると、全身の細胞は酸素不足・栄養不足に陥ります。
すると体は、足りない酸素や栄養を補おうとして、心臓に「もっと速く打て」と命令を出します。衰えた心臓にムチを打って無理をさせるため、心臓はさらに疲弊し、筋肉はますます柔軟性を失って硬くなっていきます。
ここに追い打ちをかけるのが、血管の老化です。心臓自身に酸素や栄養を届ける「冠動脈」が動脈硬化で狭くなると、心臓はエネルギー不足になり、さらに出力が落ちます。また、血液の逆流を防ぐ「弁」の機能が衰えれば、せっかく送り出した血液が戻ってきてしまい、心臓内の圧力が高まって負担は倍増します。
さらに恐ろしいのは、このスパイラルが「活動量の低下」という罠を招くことです。心臓の老化によって疲れやすくなり、体を動かすのが億劫になると、体じゅうの筋肉が衰えます。
全身の筋肉には血液を心臓へ押し戻す「筋ポンプ作用」があるため、筋肉が減ることは心臓の助けがなくなることを意味します。助けを失った心臓は、自力で重い血液を循環させなければならず、心臓の負担がどんどん増し、老化のスピードは加速度的に上がっていくのです。
この悪循環を放置すると、最終的には「心不全」という、命に関わる深刻な状態にもつながりかねません。心臓からのSOSを「年のせい」で片づけず、適切な運動や食事で心臓をサポートし、負のスパイラルを正の循環へと変えていく意識を持ちましょう。

