これほど過酷な労働を自らに課している心臓自身も、動くためには当然、栄養と酸素を必要とします。それを供給しているのが、心臓の表面を覆う「冠動脈」という大切なパイプラインです。
冠動脈は、心臓の筋肉に酸素と栄養を届ける血管で、この流れが滞ると、心臓そのものの働きが大きく損なわれてしまいます。
心臓は20歳から老化が始まる
驚くべきことに、心臓の機能的なピークは10代にあり、20歳を過ぎる頃からすでに少しずつ老化の坂を下り始めているのです。
心臓の老化とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。大きな変化の1つは、心臓を構成する筋肉である心筋の衰えです。
心臓は筋肉のかたまりですので、腕や足などの筋肉と同様、適切に使われていないと次第に働きが弱まります。その結果、血液を送り出すポンプ機能そのものが低下してしまうのです。
また、心臓内部にある「弁」の機能も加齢とともに衰えていきます。
心臓には血液の流れを一定方向に保つための弁がありますが、この調子が悪くなると心臓内で血液の逆流が起こりやすくなります。これはポンプ機能や拍動のリズムにも悪影響をおよぼす厄介な変化です。
さらに、一定のリズムで収縮と拡張を繰り返すシステムが衰えることで、拍動が速くなったり遅くなったりと、リズムに乱れが生じるようにもなります。
そして、最も注意すべきなのが、心臓を養う血管「冠動脈」の老化です。
心臓は、その表面を覆う冠動脈を介して酸素や栄養を受け取っています。加齢などによってこの血管が硬くなると、内部にプラーク(粥腫・じゅくしゅ)というコブができ、通り道が狭くなってしまいます。冠動脈の老化が進むと心臓が酸素不足に陥り、命に関わる事態を招くこともあるのです。
心臓は生まれたときから1秒も休むことなく働き続けているため、年を重ねるほどその負担は蓄積されていきます。特に50歳を過ぎると、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を抱える人が増え、心臓病のリスクは急激に高まります。
しかし、20歳から老化が始まるといえども、決して絶望する必要はありません。
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【日々の習慣次第で進行を緩やかに】
