7歳から13歳の子どもたちを対象にしたイギリスの研究では、成績の高い子どもたちが計算のときに数字を柔軟に変形して解いていたのに対し、成績の低い子どもたちは1つのやり方に固執し、数字を工夫できていないことがわかりました。たとえば、「21−6」を解くとき、成績の高い子は「いったん21から1を引いて20にしてから20−5をやる」など簡単なやり方に置き換えて考えていましたが、成績の低い子は「21から6つ数え下る」という方法を選んでいました。このやり方はシンプルなようでいて、「21、20……」と数え下って答えに至るのはかえって複雑で難しくなってしまいます。
つまり、計算表や1つの解き方の記憶などの「知識量」が差を生んでいるのではなく、「数字をどう扱うか」の差、まさに数字センスの差が、算数力の差につながっているのです。OECD(経済協力開発機構)が実施しているPISA調査(生徒の学習到達度調査)でも、成績の低い子どもほど「暗記」を重視して学んでおり、逆に成績の高い子どもたちは、数学の大きな考え方や概念のつながりに注目して学んでいることがわかっています。
暗記やドリル偏重の学びは、子どもの算数の力を制限してしまいます。勉強は、単に努力や勉強時間の問題ではないのです。学び方そのものが成果を左右します。特に算数においては、丸暗記や集中ドリルだけの学習では、いくら時間をかけても高い成果につながりにくい。「考える力」を大切にする勉強法で、子どもの力を伸ばしていかなくてはいけません。
「センスがない」と決めつけずに数字センスを育てよう
算数の力は、ただ速く計算できることや、多くの公式を覚えていることだけでは決まりません。
大切なのは、数字を柔軟に捉え、「なぜそうなるのか」を考えながら向き合うことです。もし子どもが計算でつまずいても、「センスがない」「向いていない」と決めつける必要はありません。数字の見方や考え方を少し変えるだけで、算数は"苦手科目"から"考える面白さを味わえる科目"へと変わっていきます。
暗記や反復だけに頼るのではなく、数字センスを育てる学びへ。その積み重ねが、子どもの算数力を大きく伸ばしていくのです。

