たとえば、丸暗記を過度に重視したり、「こうだからこう!」などと通り一辺倒の教え方をしてしまうと、算数に対する不安や苦手意識につながりやすくなります。また、「算数に向いていない」「文系家系だから」などといった、固定マインドセットの声かけも要注意。成長マインドセットの芽が摘まれてしまい、「頑張ってもできない→算数が嫌い」となってしまいかねません。
このように、算数嫌いは「①基礎スキルのつまずき」「②遺伝」「③周りからのメッセージ」という3つの層が重なって生まれます。特に、はじめの小さなつまずきが不安の出発点になり、そこに遺伝的な算数嫌いの傾向や、親・教師からの言葉や授業の雰囲気が積み重なることで、「算数は怖い・自分には向かない・苦手」という解釈が強まっていくのです。
数字センスと計算表の暗記、算数の力を伸ばすのはどっち?
算数が苦手な場合、「九九を覚えさせなきゃ」「計算を速くできるようにしなきゃ」と、九九の計算表を壁に貼って何度も唱えて覚えさせたり、ドリルで計算をとにかく速く解かせたりしがちです。これらは、ごくごく当たり前の算数力アップの勉強法ですが、暗記や繰り返しだけでは子どもの算数力のポテンシャルを十分に引き出すことはできません。
鍵になるのは、「数字センス」です。数字センスとは、「数字を柔軟に、しっかり意味を理解して扱える力」のこと。たとえば「7×8」。九九を暗記していれば「56」と正解できます。しかし、数字センスがある子は、「7×7は49だから、そこに7を足して56」と考えたり、「10×7の70から2×7の14を引いて56」と工夫して考えたりすることもできる。そうやって、一度覚えた算数の知識や、同じ問題の解き方だけに縛られず、その場で数字を組み替え、別の角度から答えを導き出す力が、数字センスです。
そうは言っても、九九を丸ごと覚えれば、改めて計算しなくても答えをすぐに言えるし、苦手な計算でも、ドリルで何度も繰り返せば、いずれできるようになる。そんな体験から、暗記とドリルをベースにした算数の勉強法は、あながち間違っていないようです。しかし、暗記やドリルだけでは、算数の力は伸びません。
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【「センスがない」と決めつけずに数字センスを育てよう】
