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ベトナム縦断の寝台列車で一人旅《下段ベッド巡りバトル》「タイパ絶望的」でも「旅情はプライスレス」

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フエーダナンはベトナム統一鉄道で景色が最も美しい区間と言われる(写真:筆者撮影)
  • 浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)
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出発から3時間、ベトナム有数のビーチリゾート・ダナン駅に到着し、大量の欧米人観光客が乗り込んできた。

国際的な観光地・ダナン(写真:筆者撮影)

彼らは自分のシートを探して、入れ替わり立ち代わり室内に入ってくる。子ども2人が対面のベッドに座ったかと思えば、ベトナム人のガイドが「そこじゃない」と連れ出し、代わりに老夫婦が入ってきた。大規模なツアー客のようだ。ダナン駅を発車して5分以上経っても、通路ではガイドが乗客を誘導する喧騒が続いていた。

対面の上下ベッドを予約したらしい老夫婦の男性が、きょろきょろと辺りを見回している。筆者もそこでようやく気付いたが、上段に登るはしごがない。

コンパートメントの入り口付近にスマホスタンドのような小さなステップがあり、そこに足をかけてボルダリングのように登る仕様だった。

上段に上がるには、入り口近くの小さなステップに足を置き、ボルダリングのようによじ登るしかない(写真:筆者撮影)

これはトイレに行く際など大変そう。下段のラスト1席を確保できて本当に良かった……と思っていると、大柄なフランス人男性がやってきて、「上下を代わってくれないか」と言うではないか。

とっさに「下のほうが料金が高いから」と答えると、彼は財布から札を出し「金なら払う」と返してきた。資本主義の力で押し切ろうとしているのか。

答え方が良くなかったと思い直し、「私はわざわざ下の座席を予約した」と再度拒絶した。防犯面やプライバシーを考えて上段を好む人もいるが、筆者は圧倒的に下段派。札束で顔をはたかれても譲らんぞ。

9台にデザリングされる!

一部始終を見ていた向かいの夫婦が、何か話しかけてきた。しばらくして英語で「フランス語なら話せますか」と聞かれたので首を振ると、スマホの翻訳画面を見せてきた。

表示されたのはベトナム語だった。「私は日本人です。ジャポン、ジャポン」と伝えると、女性が「!」という顔をし、日本語に設定し直した。
「あの紳士(先ほどの男性)は困ったものですね」

翻訳アプリを介して少しだけ会話を交わした。彼女たちはホーチミンまで行くという。17時間弱の旅で、到着は翌朝6時前。車内は清潔で快適だが、Wi-Fiもなく、よほどの鉄道好きでなければ退屈は免れないだろう。

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【駅に到着】

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