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「看護婦という恥ずべき仕事を口にするな」朝ドラ「風、薫る」で注目、上流階級で育ったナイチンゲールの陰鬱な青春

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ナイチンゲール
連続テレビ小説「風、薫る」では、りんと直美が看護婦養成所に入学した(写真:けいわい / PIXTA)
  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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それでも、なかなか看護婦として働く道が見つからず、将来は不安だらけだったようだ。こんなふうに自問自答した夜もあった。

「すべてを試みた。外国旅行も、親切な友人も、すべてを。おお、神様! 私はどうなるのだろう?」

それどころか、思い通りにいかない状況に打ちのめされて「人生31年、好ましいと思われるのは死ばかりである」と綴るほど、人生に絶望さえした時期もあったようだ。

だが、年月を重ねるにつれ、家族の反対も和らいでいく。ただ、婚期を逃して呆れられただけかもしれない。そうだとしても、ナイチンゲールは一向に構わなかった。自分の人生の価値は自分で決める。そんな開き直りが、事態を次第に動かしていく。

「青春が終わった喜びをかみしめています」

33歳のときにナイチンゲールはついにロンドンの病院で、看護婦の監督として雇われることになった。就職する前年、父にこんな手紙を書いている。

「あの何ひとつ、自分自身をさえ支配できないような失望に満ちた未熟の時代、青春――。私のそれはついに終わり、二度と戻らないという、その喜びをかみしめています」

朝ドラ「風、薫る」ではこれから、りんと直美が看護の現場で数々の困難に直面することだろう。そのときに、『看護覚え書』で書かれたナイチンゲールの言葉が、局面打開のヒントになるはず。ナイチンゲールが2人にとって、どんな存在になっていくのかも、楽しみである。

【参考文献】
リットン・ストレイチー著、橋口稔訳『ナイティンゲール伝─他一篇』岩波文庫
宮本百合子著「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」『宮本百合子全集 第十四巻』新日本出版社
木原武一著『大人のための偉人伝』新潮選書
セシル・ウーダム・スミス著、武山満智子・小南吉彦訳『フロレンス・ナイチンゲールの生涯(上)』現代社
真山知幸著『偉人名言迷言事典』笠間書院

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