その会のメンバーに、鹿児島市立中学校に通っていたが、不適切な指導後に亡くなった男子生徒の遺族も入っていた。
18年9月の始業式の日、提出を忘れていた課題を、その日のうちに提出するように指導された男子生徒Aさんは、自宅に向かい、自室で亡くなった。この自殺案件に関連して、Aさんの保護者は市を相手に裁判を起こしている。
提出していなかった課題は、(1)数学のプリント集、(2)保健体育の「体話」(親子で取り組むストレッチ)、(3)「特別活動の調べ」(高校の体験入学をまとめた内容)、(4)標語、(5)夏休みのしおり、(6)保護者のコメントを記入した「通知表」。
この日の午後1時15分ごろ、帰りの会の終わりに、担任は「忘れ物をした生徒が複数名いる。教卓に来なさい」と言った。Aさんを含む6人が教卓周辺に集まった。担任は「いつ提出するのか?」と聞いた。Aさんは「数学のプリント集」を紛失したことを伝えた。
すると、担任は「今日が締め切り。今日提出するように」と指導した。このときの指導の際、担任は大声を張り上げた。ほかの生徒の証言では「何を言っているのかわからなかった」という。
提出できなかった指導に関して、この6人に対する指導はこの段階で終わりにならなかった。このうち、理由は示されなかったが、Aさんを含む2人が職員室に呼ばれた。
そこで、もう1人の生徒は「よく忘れる」(担任教諭だった女性)とのことで、諦めモードになっており、「もう、またなのね」というスタンスだった。そのため、大声を出していない。しかし、Aさんに対しては大きな声で叱責をした。
「(Aさんは)いつも概ね宿題を提出していた。しかし、このときは明らかにほかの生徒よりも提出してない。大声を出したのは、(遊んでしまったという)夏休みの過ごし方について気になったから。明らかに勉強に向かっていないため、自覚させるためだった」(担任教諭だった女性)
このときの教諭の声は、校舎外にいた男子生徒にも聞こえた。裁判では声量について、「10段階のうち7か8」と述べていた。最終的にAさんは職員室を出るが、そのときに涙を流した。
「中3になってすぐ、『担任が嫌なので、クラス替えをしてほしい』と言っていました。『それはできないでしょ』と伝えたのですが、翌日も『担任の先生が嫌だ』と言っていたんです。私は『まだそんなこと言っているの? 社会に出たら、ウマの合わない人は出てくるよ。今年は先生とではなく、友達と思い出をつくりなさい』って言ったんです。その後、言わなくなりました」(母親)
大声での叱責と理不尽さが自殺への衝動を誘発したか
Aさんが、この教諭の大声の叱責を怖がっていたのは理由がある。2年生のとき、バスケットボール部でのふざけた行為によって、部員たちが指導を受けた。
そのときに、部に無関係であるにもかかわらず、校舎内で叱責をした。Aさんはその行為に関係なかったが、連帯責任として指導をされている。そのとき、部の保護者会が開かれていた部屋にまで声が響きわたった。
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【支援には大人への信頼感が求められる】
