児相に電話したのはそんなときだ。
「(一時保護所は)家よりも居心地はよかった。一人部屋なのはいいですが、ほかの人と話してはいけないルールでした。決められた時間に勉強し、食事する。スマホは没収されたので、だいぶ暇でした」
取材をしていると、一時保護所は、虐待された子にとっても決して居心地のよい場所ではないと感じる。自ら児相に電話をして一時避難先としたサオリのように、児相をこうした形で利用できる人は多くはない。
その後、サオリはグリ下(大阪道頓堀のグリコの看板下)やトー横に来て、人間関係を広げた。そこでできた人間関係のストレスから市販薬の過量服薬(オーバードーズ、以下OD)をした。
このときは自殺するつもりではなかった。しかし、その後アルバイト先でトラブルがあったため、死のうと思った。自宅マンションから飛び降りし、精神科病院に入院した。
10代や20代前半が歌舞伎町で心中、自殺…
筆者が「トー横」に注目したのにはきっかけがある。コロナ禍で起きた心中だ。21年5月11日、新宿・歌舞伎町のアパホテル近くで起きた。
「亡くなった2人とはよく歌舞伎町のホテルで一緒に寝たりしていました」
10代の男女2人が倒れていたところを当時目撃した女子高生アミ(仮名10代)は、亡くなる直前、ホテルのエレベーターホールで見かけたというのだ。そして。こうも証言する。
「同じホテルに泊まっていたのですが、コンビニへ行き、ホテルに戻るときに2人が倒れていたんです。見つけたときにはショックで、名前を叫んでいました」
2人は、ホテルの上層階の非常階段から、飛び降りた。翌週にも10代の男性が同じような場所から飛び降りた。さらには、同年12月29日、9歳の男児が転落死した。その後の調べで、川崎市在住の母親(47)が殺人容疑で逮捕された。「無理心中しようと思った」と供述した。
これまでも歌舞伎町では、ホストクラブでのトラブルから飛び降りる女性がいるというのは知られていた。ただ、その舞台の多くはホストクラブが入っているビルだったりする。しかし、最近、歌舞伎町で起きる心中や自殺は10代や20代前半であり、ホストクラブとの関係はない。
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【教員による不適切な指導後に亡くなった男子生徒】
