わが家にカラーテレビ・クーラー・カー(自動車)の3Cがやってきて、暮らしがどんどん豊かになる空気に溢れていた子ども時代。
就職期に当たる80年代後半は、ご存じバブル景気で日本中イケイケの金満気分。「明日はもっと良くなるはず」の右肩上がり景気を、その時代に生きる誰もが信じていたのだ。
そして2026年の今、その多くは60代になった。会社員ならすでに定年を迎えたか、給料ダウンを受け入れての再雇用か、いずれにしても年金生活の入り口に立っている。
子ども時代のように、無邪気に明るい未来が待っているとはもはや思えない。「昔はよかった」とつい呟いてしまうのは、そんな心境のなせる業だろう。
ノスタルジーは「若返りの秘薬」か
60代のプレシニア層にとって、「昔はよかった」は「現在がしんどい」の裏返しでもあるだろう。昔の日本は活気があった。給料は右肩上がりで、今年より来年、来年よりその翌年と、暮らしは年々豊かになると信じられていた。
しかし、今や経済はずっと低成長、給料は上がらず円安で物価も高い。この先は慎ましい年金暮らしが待っているだけだ。日本経済は、二度とあの頃には戻らないとわかっている。
失われた経済へのノスタルジーだけではない。もう1つ、なくしてしまったものがある。
YouTubeで「80年代ユーロビート」「ノンストップ・ディスコメドレー」といった動画を覗くと、そこに寄せられているのは「朝まで踊って、それから仕事に行くくらい元気があった」「毎日がキラキラ輝いて、楽しかった」「あの輝いていた自分に戻れるなら戻りたい」というコメントだ。
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【人生の黄金期】
