ワークエンゲージメントの人は、前提として「仕事は楽しみなもの、有意義だし重要である」という認識をもっています。それゆえ、仕事に打ち込む自分に対してもポジティブに捉えています(肯定的な自己評価)。
逆にワーカホリックは、前提として仕事は楽しくありません。不快の回避のために「やらされ感」でやっているという認識をもっています。それゆえ、仕事に打ち込む自分に対してはネガティブに捉えているのです(否定的な自己評価)。
ワーカホリックは強迫的に仕事に打ち込んでいる状態ともいえますので、決して健全な状態とはいえないことがわかるでしょう。
ワーカホリズム状態の人は、次から次へとやってくる仕事に追われている状態で、立ち止まって考える暇がありません。もしくは立ち止まることに不安を覚えている状態でしょう。
「強迫的に不安を感じる」というのは、まさにこの状態です。
仕事に追われている状態というのは想像以上にしんどいものです。休日であっても、休み明けに取り組まないといけないタスクで頭がいっぱいで、心身ともにしっかり休めていません。
この状態で進んでいくと、心が疲弊して仕事の活動レベルも下がり、バーンアウト状態に移行します。そうなると、頑張りたくても身体が動かない状態になりかねません。
何が自分をワーカホリズムにさせているのか。まずはその正体を把握して手立てを打つ必要があります。
楽しくない原因は「ねばならない思考」
ワーカホリズムになってしまっている理由の1つに、本人が持つ独自の思考の癖があります。
それは「ねばならない思考」ともいえるもので、自分の経験する多くの物事に対して「〜すべき」「〜しなければならない」といった表現が脳内で多く再生されています。
この「ねばならない思考」は今までの経験に基づくもので、必ずしも悪者ではありません。しかし、時に疑ってみる必要があります。
心理学者のアルバート・エリスが提唱した「ABC理論」というものがあります。
この理論によれば、焦り、不安、怒り、悲しみ、そして喜びも含めた日常の色々な出来事に対する感情は、出来事そのものによって湧き起こるわけではなく、出来事をどう受け止めたかによって湧き起こるものだと考えます。
「ABC理論」では、日常の出来事を「Activating Event(A)」と呼び、それをどう受け止めるかは本人が抱いている潜在的な価値観や信念「Belief(B)」によるもので、その結果生じた感情や行動のことを「Consequence(C)」と呼びます。
例えば「仕事で大きなミスをした(A)」ことに対して「仕事は常に完璧でなければならない(B)」という潜在的な価値観を持っている人であるならば、「自分は無能だと感じて深く落ち込む(C)」といった結果につながります。
考えてみれば、仕事でミスをしたとしても、「人間だからミスの1つや2つはあるよね」と受け止める人もいれば、「もう自分はダメだ……」と落ち込みすぎてしまう人もいます。
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【同じ経験をしていても、受け止め方は大きく変わる】
