こうなったのは、夢を見させるには好都合とばかりに「物上げ」をしていた仲介業者と、高値への期待が先に立った売主の組み合わせのなせる業でもある。冷静になるためには、売主も仲介業者に「この物件の成約事例をすべて見せてください」と言って、時系列の変化と現在の上限を理解しておく必要がある。実現しない夢を見続けるのは現実的ではない。
ちなみに、都心3区だけでなく、首都圏でも同じ現象が起こりつつある。売出㎡単価と成約㎡単価の乖離幅は、2013年から2024年までの平均は9%だったものが、都心3区を中心に成約が滞り始めた影響もあり、この半年で急騰し、2026年3月には27%まで広がっている。
不動産価格を左右するのは「資金の流れ」
今後の不動産価格を占うには、価格メカニズムを理解する必要がある。不動産価格は需給だけで決まるわけではない。特にマンション価格は、買い手がどれだけ資金を調達できるか、つまり金融機関の融資姿勢や金利環境に大きく左右される。
1980年代後半に起こった不動産バブルが崩壊したのは、不動産への資金の流れを「総量規制」という名の下に止めたからにほかならない。不動産を現金だけで買える人は限られる。だからこそ、金融機関が大量に貸してくれるなら、不動産価格は上がるのだ。
今回、都心3区を中心に価格が暴騰したのは、転売目的の取得を行う不動産業者などへの大量の資金提供があるからにほかならない。それは「『不動産バブル崩壊』はいよいよ近づいているのか? 金融庁が地銀に出した警告の"深い意味"」で書いたので参考にしてもらいたい。
今後の不動産価格も資金の流れが重要になることは間違いない。その手がかりとなるデータが存在する。日本銀行が四半期ごとに発表する短観には、「金融機関の貸出態度判断DI」というデータがある。これは、企業から見た金融機関の貸出姿勢について、「緩い」と答えた企業の割合から「厳しい」と答えた企業の割合を差し引いた指標である。貸出額そのものを示すものではないが、借り手から見た金融機関の融資姿勢を把握するうえで参考になる。
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【金融庁の地銀への警告が転換点になる可能性】
