①教育的要因
親の所得と子どもの進学希望率の関係を見ると、年収400万円未満の家庭では、大学進学希望率は59.9%、全世帯平均で76.2%、1050万円以上では92.8%となっている(国立教育政策研究所「高校生の高等教育進学動向に関する調査研究」、2023年調べ)。大学進学率の問題もそうだが、世帯収入が1500万円以上の家庭と200万円未満の家庭では、子どものテストの正答率に約20ポイント以上の開きがあることが、文部科学省の「全国学力・学習状況調査(保護者に対する調査)」で明らかになっている。
生活保護受給世帯の子どもの大学等進学率は、全世帯に比べて低い水準にある。ただし、生活保護世帯と全世帯では算出方法が異なるため、単純比較には留意が必要だ。総務省の労働力調査によると、就職氷河期世代にあたる40代後半から50代前半のうち、今も全国で約40万人が「不本意ながら、非正規雇用で働いている」と推計されている。
②健康要因
健康に関する知識やリテラシー不足も大きく左右する。例えば、医療保険や保健サービスなどの知識不足によって、栄養のバランスを維持できない、がんなどの早期発見の機会を見逃す、といったことが起こりやすい。慢性的な栄養不足や医療へのアクセス不足は、心身の健康に影響を及ぼすリスクがあると指摘されている。
③社会的関係要因
地域の教育資源、支援機関へのアクセス、ロールモデル、社会関係資本などにも差がある。困窮世帯が多い地域では、貧困から脱出するための情報や人間関係を得にくい場合がある。貧困が連鎖する大きな要因の1つと言っていい。「近隣効果」と呼ばれるこれらの問題は、家庭や個人の努力だけでは解決できる問題ではなく、政治やコミュニティー自体の抱える問題として捉える必要があると指摘されている。
④心理的、文化的要因
心理的、文化的要素というのは、ある程度の生活水準が維持できないと、学習意欲や健康習慣が形成されにくいという現実があることだ。子どもが過度なストレスや孤独感を味わうことがないようにするためには、親の生活が大きく関係してくる。生活に追われて、子どもの成長にまで目が及ばない。そのために子どもに過度なストレスがかかってしまう。その結果、心理面が不安定になったり、一般的な子どもが経験する文化的なライフスタイルを享受できなかったりするといった弊害が出てくる。
氷河期世代が抱えるもう一つの問題
氷河期世代の子どもたちが、またさらなる貧困に陥りつつある実態が指摘されている中で、実はもう一つ問題が発生しつつある。40〜50代前半にかかる氷河期世代の人たちが、現在、自分や配偶者の親の介護に直面しつつあるという問題だ。
総務省の「就業構造基本調査」によると、介護を担う人のうち仕事をしている人の割合は「58.0%」。2022年のデータだが、5年前に比べて2.8ポイント増えている。年齢別に見ると、介護をしている人の有業率は50〜54歳で高く、男性が「88.5%」、女性が「71.8%」となっている。介護を抱えながらも、働かざるを得ない現実があるわけだ。氷河期世代が介護に直面している実態がわかる数字と言える。
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