とりわけ問題なのは、氷河期世代の賃金の低さによる貧困だ。非正規労働者に対する待遇改善が遅れたため、その影響はいまだに残っている。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基にした第一生命経済研究所の分析によると、2020〜25年の所定内給与の変化率では、20代から30代にかけては10%以上の伸びを見せている一方、50〜54歳は「マイナス1.3%」と減少している。
なかでも、氷河期世代の一部にあたる50歳から54歳は、伸びるどころか減少している。2020〜25年の消費者物価の変化率は「14.0%」で、物価上昇率を大きく下回る賃金上昇となっている。この原因はさまざまだが、若年期に正規雇用へ移行しにくかったことや、その後の昇進・賃金上昇機会の不足が影響している可能性がある。要するに、氷河期世代は非正規雇用だった過去の影響を、いまなお強く受け続けていると言っていいだろう。
教育、健康、社会…さまざまな面で貧困は連鎖する?
こうした現実の中で、今注目されているのが、就職氷河期世代の子どもたちもまた、貧困の影響を受けているということだ。いわゆる「貧困の世代間連鎖」と呼ばれる現象だが、簡単に言ってしまえば、親の不安定な就労が、子どもの学力や進学、就職に不利に働き、次世代もまた低所得になってしまうという「負のスパイラル」が指摘されているわけだ。
現在、日本の子どもの相対的貧困率は「11.5%」(厚生労働省「国民生活基礎調査、2022年」)、9人に1人が貧困に陥っていることを意味している。さらに、子どもがいる現役世帯のうち「大人が一人」の世帯では貧困率が「44.5%」(同)となっており、一般にいうひとり親世帯の厳しさを示している。これはOECDの平均と比べても高い水準と言っていい。ちなみに、相対的貧困率とは、等価可処分所得が中央値の半分に満たない人の割合を示す。
そもそも貧困の世代間連鎖のメカニズムは、大きく分けて4つの要因があると考えていいだろう。ネットなどで紹介されている原因について、簡単にまとめると次のようになる。
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