スーツ市場が縮小する中、オーダースーツは伸びている。
筆者は15年に、「2着で4万円未満からあるオーダースーツ」をテーマに取材したことがある。フルオーダーではなくイージーオーダーだったが、この頃からオーダースーツも低価格化が進み、例えば20代のスポーツ経験者(ウエストで合わせると太ももがキツイ)も仕立てるようになった。
「現在も若い世代でも購入されます。ただ以前は既製品に体型が合わない方が仕立てるイメージでしたが、今は“自分だけの1着”や“特別の日の1着”として仕立てています」
青山商事は東京ヤクルトスワローズなどNPB(日本プロ野球)4球団、サッカーJリーグ2球団の公式スーツサプライヤーをしており、レプリカスーツも販売する。
今後「スーツ」はどうなっていくか
1964年に青山五郎氏(1930~2008年)が広島県府中市で創業した青山商事は、74年に初の郊外立地の紳士服専門店「洋服の青山 西条店」(同東広島市)をオープン。以来、紳士服販売を担ってきた。老舗チェーンとして、今後「スーツ」はどうなっていくと思うか?
「普及品と高級品の二極化が続くと思います。毎日着るのではなく、たまに着るから『手頃な価格でいい』と思う方もいれば、『こだわりの高級品を持ちたい』と思う方もいます。同じお客さまが、手頃な価格⇔高級品を使い分けたりもされます」
ジャケパンが浸透しても、毎日組み合わせを考えるのが面倒という“コーディネート疲れ”の声も聞く。それなりに恰好がつくスーツは便利だろう。
青山商事にとって「みんなのスーツ」は“ゲートウエイブランド”だ。スーツを着る機会が少なくなった消費者に、まずは手頃な価格で一定の品質がある商品を知ってもらう。マーケティングでいえば「消費者とのタッチポイント(接点)を増やす」存在である。
商品に満足した消費者が同社にシンパシーを感じ、前述した上位ブランドにも興味を持ってほしい。そのための“入口”として手頃な価格のスーツで訴求したのだ。
