日用品最大手の花王が、4月30日に臨時株主総会を開催する 。
同社は衣料用洗剤「アタック」や食器用洗剤「キュキュット」など、数々のメガブランドを擁し、“よきモノづくり”を標榜する。国内でもESG(環境・社会・ガバナンス)経営のフロントランナーと評価されてきた。だが、大株主からはその実態について検証を求める声が上がっている。
臨時株主総会の招集を求めたのは、香港を拠点とするアクティビスト(物言う株主)、オアシス・マネジメント(以下、オアシス)。今年3月に、サプライチェーン(供給網)の調査について株主提案を行った。第三者による独立調査員の選任を求めており、オアシスは「深刻なESGリスクとガバナンスの不全がある」と指摘する。
オアシスは現在、花王の株12.5%を保有する筆頭株主だ。昨年の定時株主総会では、オアシスが社外取締役の選任などについて株主提案したが否決された。
内部告発が発端
今年は定時株主総会でなく、臨時株主総会という形を取ることで、オアシスはより強いプレッシャーをかけている。可決されれば、オアシスが選任した独立調査員たちが3カ月間に及ぶ精査に乗り出すことになる。
株主提案について、議決権行使助言会社のISSが賛成を推奨する一方で、 グラスルイスは反対を表明している。
今回の事の発端は、オアシスに寄せられた内部告発だった。その内容は、花王が森林破壊や人権侵害への関与が指摘される、サプライヤーとの取引を継続しているというものだった。
オアシスが独自に専門家へ調査依頼したところ、「花王が標榜する“世界で最も倫理的な企業”という主張と、実際のサプライチェーンの実態との間に乖離がある」との結論に至ったという。
具体的には森林破壊や土地奪取が取り沙汰されるインドネシアのRGEグループとの関係や、花王のグリーバンスメガニズム(苦情処理メカニズム)の不十分さを挙げる。
花王は指摘に対して「調査者の選任を要する不備は認められない」と回答している。
役員報酬に「ESG力評価」
従来から花王はESG経営に力を入れており、2021年から社長を務める長谷部佳宏氏の体制下で、その流れを加速させてきた。
例えば長期インセンティブ報酬には「ESG力評価」を導入。評価項目にCO2削減や女性管理職比率に並び、「重大なコンプライアンス違反件数」が加わっている。これらESG指標は長期インセンティブ報酬の28%を占め、社長の総報酬に対して最大約10.7%の影響力を持つ。
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