近鉄が登場年に製作した冊子の冒頭では「5200系は特別料金のいらない列車として、都市間のビジネス輸送、伊勢志摩・奈良大和路・室生赤目青山・鈴鹿等豊富な観光地への行楽輸送及び長距離通勤通学輸送に、よりグレードアップした輸送サービスを提供し、さらに団体旅客輸送にも充当できる新しい時代の車両とすべく開発いたしました」と強調している。
転換クロスシートについては「断面形状を特急用リクライニングシートに合わせてあり、ゆったりとした座り心地とした」という。前後の間隔は910mm。乗務員室のボタン1つで向きを変えられるほか、手動でも転換できる。
かつては窓下に小さなテーブル、ドア付近に折りたたみ式の座席(補助席)があった。補助席は団体列車で運用する際、4両編成で通常200人の座席定員を96人増やすことができた。登場時はシートの色も現在と異なり、先頭車両はグリーン系、中間車両はブラウン系のモケットだった。リニューアル後の現在はどちらも赤系のモケットに変わっている。
「理想の通勤車両」を目指した
同社技術管理部の奥山元紀さんは「登場当時は三重県の名張市など大阪まで通うのに1時間かかるような沿線からの利用者が増えていて、長距離の通勤輸送に耐えられる『理想の通勤車両』を目指そうと開発したのが5200系だった」と経緯を説明する。
明星検車区助役の松本普弥さんは「斬新なデザインで機器のメンテナンスにも手間がかからない車両である反面、配車係をしていたときはほかの一般車両とは異なる3ドア車で運用に条件があるため気を遣った」と振り返る。一方で「プライベートで乗る際は、特急と同じような感覚で座れるので5200系が来るとちょっと嬉しい」と話していた。
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【他社で広がった転換クロスシート】
