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「病院で患者を待つだけが仕事じゃない」 起業した看護師が切り拓く、社会システムの谷間を埋める"新しい看護"のかたち

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子どもと男性
「産前産後の女性と支えたい」と起業した増田雄太氏※一部加工しております(写真:エイトカラーズ提供)
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訪問看護ステーションの数は、2010年の5731件から2025年には1万8753件と、15年間で3倍以上に増加している(全国訪問看護事業協会調べ)。その背景にあるのが、訪問看護の評価の高まり(診療報酬で「訪問看護ベースアップ評価料」が新設)や、参入要件の緩和などだ。

これらにより、訪問看護ステーションの経営が看護師の新たなキャリアパスになった。

訪問看護は、慢性疾患を抱える高齢者や、人工呼吸器の使用、経管栄養、痰の吸入などが必要となる医療的ケア児の在宅療養を支えているが、その役割は精神科領域にも広がっている。

かつて長期入院が当たり前だった精神科医療は、少しずつではあるが、地域での生活を支える方向へと大きく転換しつつある。

一方で、精神疾患を抱えながら地域で暮らす人が増えた結果、孤立や生活上の困難を抱えるケースも出てきている。こうした背景から、精神科訪問看護へのニーズが高まっているのだ。

実際、精神科訪問看護を算定している事業所数は、2017年の2569カ所から2025年の9060カ所へと、約3.5倍になった(「訪問看護療養費実態調査」より)。

産前産後を支える訪問看護を運営

なかでも近年、注目されるようになったのが、産前産後や子育て期の女性への精神的支援だ。日本産婦人科医会によると、産後の女性のうつ病は10〜15%程度にのぼり、児童虐待で亡くなる子どもの約7割が0歳児である。

とはいえ、小さい子どもがいる家庭へのサポートの重要性が増しているものの、精神的な不調や育児の困難を抱える家庭を、継続的に支える仕組みは、まだ十分ではない。

このような社会的ニーズに先駆けて応えたのが、2019年に設立したエイトカラーズ合同会社(名古屋市)だ。訪問看護事業や学会・研修・シンポジウムの運営などを展開している。

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【「ママサークル」をきっかけに】

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