その意味で、東大数学と京大数学の差は「出題範囲」や「形式」よりも、むしろ問題の設計思想にあります。
何が一番違うのかと言えば、私は「誘導があるかどうか」だと思います。言い換えれば、「受験生をどう解かせようとしているか」が、両大学ではかなり違うのです。
東大数学――誘導を読み取れるかどうか
東大数学の大きな特徴は、斬新で一見複雑な問題を、誘導つきで解かせることにあります。
問題文が長く、設定もやや入り組んでいて、初見では「何をさせたいのか分からない」と感じることも少なくありません。ですが、注意深く読むと、小問や条件が少しずつ解答の方向へ受験生を導いていることが分かります。
つまり東大数学では、「この誘導はどこへ向かっているのか」を読み取れるかどうかが非常に重要になります。
計算量が多い問題もありますが、それは単純に計算力を試しているわけではありません。複雑な設定や多くの情報の中から本質を取り出し、必要な筋道だけを残せるか。東大はそこを見ています。
また、東大の解答欄は比較的コンパクトです。これは、答えに至るまでの道筋を簡潔に表現できるかどうかも含めて評価しているからでしょう。力技で遠回りするのではなく、問題の核心をつかみ、必要十分な形でまとめられるか。東大数学は、そうした「洗練された処理能力」を問う試験です。
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【対極にある京大数学】
