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PM4時に時短社員は退勤→尻拭い続けた彼は限界迎え辞表を…"柔軟な働き方"がもたらす「助け合えば大丈夫」じゃない現実

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優秀な社員
負荷の偏りが現場を疲弊させた事例をご紹介します(写真:8x10/PIXTA)
  • 安東 邦彦 ブレインマークス代表取締役
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こうした設計図がないまま、短時間で働く人材をパズルのように組み込めば、歪みは必ず発生します。そしてその歪みは、例外なく現場の“調整役”に集中します。自由とは、何もしなければ機能するものではありません。むしろ、設計されていない自由は、最も責任感の強い人に負荷を集中させる装置になってしまいます。結果として、最も誠実に組織を支えていたエースから順に、その重圧に耐えきれなくなります。制度が人を壊すのではありません。設計されていない自由が、人を壊すのです。

現場が壊れないための2つの打ち手

こうした悲劇を回避し、多様な働き方を業績に直結させるためには、経営者が取り組むべき2つの仕組みがあります。これらは精神論ではなく、組織のOSを書き換える具体的な打ち手です。

第1の打ち手:属人化を解く

Bさんが他人のデータを開いて四苦八苦していたのは、残業癖の問題ではありません。その業務を引き継げる人が、彼しかいなかったからです。この状態を放置する限り、マイクロシフティングは「誰か一人に負荷を集中させる仕組み」として機能し続けます。

ここで重要になるのは、「話す」から「書く」へ、情報の流れを変えることです。A社の現場では進捗の確認、判断の相談、顧客の要望。あらゆる情報が口頭で飛び交っていました。口頭のほうが速く、その場で結論が出る。確かにその通りです。しかし「話す」文化には、決定的な弱点があります。それは、情報が「詳しい人」に集中するという構造です。

「これ、どうなってる?」と聞いて答えが返ってくる人がいる限り、周囲はその人に聞きに行きます。結果として、その人の頭の中にしか情報が存在しない状態が温存されます。Bさんが夜遅くまで残らざるを得なかったのは、彼の能力の問題ではなく、情報が彼に集まってしまう構造そのものの問題だったのです。

これを解くには、情報の流れを「話す」から「書く」へ寄せるしかありません。「書く」の本質は、誰か特定の人に聞きに行かなくても、同じ情報にたどり着けるようにすることです。チャットで結論だけを流すのではなく、「なぜその判断に至ったのか」という背景まで残す。たとえば「この部品は在庫を切らすと調達に3週間かかるため、残量2割で発注する」。この前提が書き残されていれば、不在だった人でも同じ解像度で仕事を引き継げます。

口頭のほうが速い、というのは半分しか正しくありません。その日、その瞬間は確かに速い。しかしそのツケは、必ず誰か一人の残業として返ってきます。"話す速さ"は、組織全体で見れば、最も責任感の強い人の時間を静かに奪っているのです。

第2の打ち手:「その場対応」からの解放

電話対応、来客対応、夕方の緊急依頼。A社でBさんを追い詰めたのは、設計業務そのものではなく、こうした“その場で誰かが対応せざるを得ない業務”でした。時短メンバーが帰った後、その場に残っている人が対応する。結果として、その役割がBさんに集中していきます。理由はシンプルで、「そこにいるから」です。

多くの経営者は「助け合いの文化があるから大丈夫」と言います。しかし実態は、手が空いている人ではなく、「断れない人」に仕事が流れているケースがほとんどです。責任感が強く、「自分がやったほうが早い」と引き受けてしまう人に、負荷は集中します。

次ページが続きます:
【耐えられる構造・仕組み」を整える】

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