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1892年創業「町の電気店」が店内におしゃれなイタリアンを併設した訳 "超多角経営"で歴史と地域の居場所を守る

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「まちのイタリアン hallelujah」の入り口
テレビの展示スペースの隣が「まちのイタリアン hallelujah」の入り口(写真:筆者撮影)
  • 永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー
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「海外での収益を国内に還元して、価格を維持するという目的もありますが、人が集まる場所をつくるという考え方はどこでも通用すると思っています」(黒田さん)

地域の居場所を作りたい

そして、その延長線上に誕生したのが「まちのイタリアン hallelujah」だ。パンをおいしく食べるための料理を提供しながら、地域の人が集まり、会話が生まれる空間として機能している。

「まちのイタリアン hallelujah」のランチは2178円〜。選ぶメイン料理によって価格が異なる(写真:筆者撮影)

この日、黒田さんに用意してもらったのは、パスタかピッツァをメインに選ぶランチ。「NIjIPAN」のパン食べ放題とドルチェ、ドリンクも付く。アルデンテに茹で上げたパスタ、ボロネーゼは肉の旨みをしっかりと感じた。何よりも驚いたのは、食べ放題のパンのクオリティ。生地そのものの味と香り、もっちりとした食感はビュッフェに並ぶパンのレベルを超えている。商談スペースに空席待ちの客が溢れるのも納得だ。

社内の会議室でPTAや町内会の会合が行われ、そのまま懇親会へとつながるケースも多い。ランチは平日30〜40人、土日祝は50〜60人が来店する一方で、夜は平日2〜6人、週末でも8〜10人程度にとどまる。オープン当初は行列ができたが、冬場は単月赤字に転落。その後メニュー改善などを行い、現在は黒字化している。飲食業だけで見れば決して高収益とは言えないが、それでも続ける理由は、地域の居場所をつくることが目的だからだ。

今や家電はネットで買う時代である。価格競争では勝てない。しかし、黒田社長は、「僕らの仕事は物を売ることではなく、困りごとを解決すること」と言い切る。だからこそ事業は家電から介護、パン、レストランへと広がったのだろう。

が、それらはすべて一つの思想でつながっている。それは明治時代から続く「必要なときに、必要な人へ、必要なものを届ける」という考え方だ。

現在の売上構成は、家電が約1億2000万円、パンが6000万円、レストランが1200万円と、複数の事業が並立する形になっている。パンや飲食をきっかけに来店した客が、太陽光発電や蓄電池の相談につながるケースも出てきており、約200万円の成約につながった例もあるという。

電気店の中にイタリアンがある理由は、決して奇抜な発想ではない。かつて電気店がそうだったように、人が集まり、言葉を交わし、誰かの人生に少し関わる場所をつくる。その営みを、現代のスタイルで取り戻そうとしているに過ぎない。

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