「主人公が刑務所に収監されて、そこから……ということをひとつの見せ場にしたいと脚本家が言い出した時に、やっぱり東映なんで『網走番外地』をもう1回研究するか、ということになるわけです。
エンターテインメントなんだから、刑務所ものであっても全然構わないじゃないか、といった具合に、東映はどうも本筋を忘れちゃうところがあるんですが、いや待てと。
作り手がどう思ったとしても、見に来るお客さんは仮面ライダーに対する期待があると思うんです。あの恐ろしい敵をかっこいい仮面ライダーがやっつける、というクライマックスが来るであろうと。
それは裏切っちゃいけない、というのはもちろん最低限の良識としてあるんです。でも、本当にどっかでタガを外すと、東映なんで、刑務所殴り込みのシーンなどを入れかねないんですけどね」
その脚本家こそが『アギト』を手がけた井上敏樹。さらに監督が田﨑竜太。音楽に佐橋俊彦。そしてプロデューサー陣に白倉伸一郎、武部直美、塚田英明と、キャストのみならず、スタッフも『アギト』を支えたメンバーが勢ぞろいとなっている。
「それは強みでもあるけど、落とし穴にもなりかねない。もちろん全員プロなんで、そうはならないですけど、どこかでなあなあというか、内輪受けというか、昔の感覚に陥りかねない。
特に『アギト』なんて、これだけの成功体験があるわけですから。こうすればみんな喜んでくれるんでしょ、というものがある。だからこそ、その穴には絶対落ちないように。自分たちが楽しむだけのものにはしない、というのはみんな強く意識していたと思います」
新作を作るときに“陥りやすい罠”
長くシリーズを続ける中で、マンネリとの戦いは避けて通れない。しかし、単に新しいことをやればいいわけではない。
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【匙加減が非常に微妙】
